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『無宿島』 翔田 寛 著

2012/01/11(水) 15:44:17 翔田 寛 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 小路さんが『東京バンドワゴン』や『東京公園』等でブレイクなさったので、次のわたしのプッシュはこの翔田さんです。女性には感情移入しづらい作品もありますが、短編も長編も同じようにテンション引っ張りながらラストまで読ませてくれるので退屈~というのはあまりないですよ。特にこういう江戸時代や明治の混乱期を舞台にした作品はオススメです。





で。
これ、けっこう分厚いんですよ。原稿用紙721枚ですって。
それでも全然長さを感じない。人それぞれの好みや評価はあるでしょうが、わたしは面白く読みました。これで1,500円はお買い得というより、安いと思う。

ネタばらしどころか先入観を持たせてしまうような書き方もしたくないなあ。

あ、相変わらず、女性は主役準主役クラスにはいません(苦笑)が、中心的な男達の心の中に、それぞれの女性が住んでいます。それがいい感じに効いてて、何かと追いやられっぱなしだった江戸時代の女性達が実は社会を動かしていたのね、と思ったりします。

で、視点人物がけっこう頻繁に変わります。そもそも何人だ…えーと、主なものは、“無宿人”倫太郎と、黒さん、同心の工藤惚之助さんですが、いろんな人物の思惑が絡まりあってるのです。

作者である翔田さんのクセというか傾向をある程度知っていれば、視点人物であってもラストで引っくり返って死んでしまうパターンがあるので、主人公至上主義・名探偵贔屓のわたしも学習して登場人物の誰一人にも感情移入せずに読みました。

それがよかった。
聞き込みにまわった先の町人たちは別にして、事件にかかわりあいのあるキャラクタは誰一人無駄にはしないで使い切ってます。その中に、真犯人と、プロローグの出来事の真相や黒幕と、倫太郎さんや工藤さんがじわじわと追い詰められていくサスペンス要素が、無理なく埋め込まれてます。
だから読んでる方も、フーダニットと、黒幕の正体と、ドキドキハラハラする気持ちで、ぐいぐいページをめくります。

時代小説のカテゴリーでしょうが、ミステリとしても水準以上だと思うので、時代小説ファンとミステリ好きのどちらか一方でも大丈夫。
頭使わずにほうほうと暢気に読んでたわたしは、真犯人と、黒幕の人物のミスリードに見事に引っかかったさ!(笑)
いやほら、なんの描写もなくいきなり出てきた名前があったらさー、そいつがこいつかと思うやん!
黒幕にしても、コイツかなと思う人物を絞ったところで、みんな叩いたらわっさわっさホコリが出そうやん!
…負け惜しみですかそうですか。

ところどころ、日本史に名を残すビッグネームが出てくるので、そのことも結構なサプライズ。

贅沢をいえば、というか生意気を言えば、無宿島の特別ルールを犯人当ての条件にもうちょっと活かせればよかったなあ、と思ったりしました。アリバイトリックとかね。いやユルくは使ってあるんですけども。

江戸時代がどんな風だったのか、それはタイムスリップでもしない限り本当のところは分かりませんが、こういう人間ドラマ、今よりある意味官僚的な反面シビアな実力主義な社会、身を持ち崩す人たちの哀れ…、娯楽小説として考えすぎることなく、途切れることなく続く日本人としての共感も持ちつつ、読んでました。

図書館に行ったら、小路さんの横かすぐ近くに翔田さんの作品も並んでるので、一緒に手にとってみてねー!


(2011 11 幻冬舎)
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