こんな本読みました。

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『それからはスープのことばかり考えて暮らした』 吉田篤弘 著

2011/09/11(日) 10:23:54 吉田篤弘 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 以前、『小さな男*静かな声』を読んで、わーいいなあwwwと思った吉田さんでしたが。やっと2冊目を読みました…すみませんです。
 うん、いい!もっと読んでいたかった!
 これから吉田さんの作品をガンガン読みまくろうと思います☆



ぜんぜん予備知識がないまま、とりあえずページを開いたら、最初は一話ずつ独立した短編集かと思ったんですが、じゃなくてこのタイトルは章立てでした。てことで、長編だった(笑)

で、もうのっけから、サンドイッチが美味しそうで美味しそうで!
食べたいー誰か作ってくれんかなーwと(自分で作ったサンドイッチを美味しいと思ったことはただの一度もない)

オーリィ君を主人公に、適度な人数のキャラクタ達が魅力的。
リツ君の背伸びっぷりが可愛いwww

何かひとつのことにハマるととことん!なオーリィ君の、日常生活においてのぽややん具合と、マダムのドライな気遣いがいい感じです。
店名の「トロワ」の由来とか、オーリィ君のお姉さんの傍若無人とか、そんなちょっと微笑んでしまうエピソードがいい緩急のつけ具合。
でも。
安藤さんとリツくんの父子のこと。
マダムの過去。
そして、緑の帽子のご婦人のこと。
終盤で全てが明かされないまま、読者の好きなように想像させてくれる(あおいさんの正体はおそらくオーリィ君の想像通りなんでしょうが、それでも確定的なことは書かれていない)。そこがミステリーとは違うところで、ミステリーだったら、安藤家の過去に何があったかとか、謎のご婦人の正体は?とか、そういうものに全て答えが用意されてる。
でも、ミステリーじゃないのなら、こういうはっきりしないままエンドマークが打たれる小説の方が、その余韻に浸れますね。純文学もそういうものなんでしょうが、そこまでは追いかけるつもりないです身体は1個しかないもん★

んで、この人たちが、オーリィ君を導くわけですが、その関係がなんとも心地いい。
ベタベタするでなく、追い詰めるわけでもなく。持論をぶつにしても、オーリィ君よりはるかに豊かなその人ごとの人生に裏打ちされた言葉。
だからたぶん、オーリィ君は、素直に聞き入ったんだと思う。
オーリィ君がその成長の途中だったから、映画館のポップコーン係の青年も、シンパシイを感じたんじゃないのかな。

就活中であっても、自分の心に正直に日々を過ごして、考えるよりまず行動するような素直な人は、インプットの時期が終わってアウトプットになったとき、自分の中の引き出しがパンパンに詰まってて引き出しの数も桁違いに増えてて、イイ感じに人生が動き出すのかもしれないですね。

著者あとがき(のようなもの)によると、「月舟町三部作」の二作目、というこの作品。
モデルになった東京の町も書かれていますが、ぶっちゃけわたしは全然知りません。
でも、文章が本当に滑らかで情景が美しくて、昭和の映画かドラマを見ているよう。…と書くつもりでしたが。
なんというか、東京の下町の特集記事がのってるタウン誌みたいな、
それとも、アマチュア画家さんによってさらさらと描かれたデッサンにこれまたさらさらと絵の具をのせたみたいな。
なんでもない街の一角を切り取っている絵や写真を、その手に持ってる人の背後からちょっと失礼して覗いてみたような。
そんな感じがしました。

オーリィ君が、美味しいスープの作り方を伝授されて、作って安藤さんやリツ君やマダムに試食(試飲?)してもらうシーン。
一瞬ことばに詰まるほど、それからは感嘆して聞かれもしないのに喋りまくるほどに美味しいスープ。
うわああ食べてみたいーーー!
と同時に、ああ分かるなあと思った。
いや、美味しいもの食べてそうなることもですが。
人間、生きるために必要な最低限の衣食住に「本を読む娯楽」というものは含まれないはずなのに、美味しいサンドイッチやスープを食べることと、めっちゃ面白い小説や本を読むことは、似てるなあ、と。
読書も同じで、そこそこの良作か佳作だったらまあ良し、聞かれたら面白かったよと感想言うけどどこか取ってつけたような気がするのに、名作傑作じぶんのストライクゾーンど真ん中の本を読んで興奮したら喋るにしろ書くにしろ言葉が迸って止まらない。わたしにとって、読書は、心のご飯なんですよねたぶん。

レシピを手渡したマダムが、オーリィ君が完成させたスープを口に入れてひとこと、「わたしの味と違うのね」「これは、もう、あなたのスーブなのよ」と言う。
作り手によって、同じレシピでも味が違う。材料の切り方、火の加減、混ぜ具合…。個性があるから。
スープだけじゃなく、あらゆる料理について言えることですね。
で、それは、作り手それぞれの経験や過去だったり夢だったり愛情だったりするわけで、同じ味になるはずがない。工場で作られるコンピュータにインプットしたデータに基づいて大量生産されるもの、過去も未来もないもの以外は。

ひとりひとり、ひとつとして同じ人生がないように。
マニュアル化された人生を人生とは言いがたいように。
それぞれのユニークな人生を愉しもう。

言葉の使い方が絶妙で、新鮮な形容詞や形容動詞にハッとさせられて、そして滑らかな美文。
素敵な物語でした。

それにしても、スープ飲みたいーーー!
サンドイッチ食べたいーーー!
美味しいお味噌汁も!

という、やたらお腹の減る物語でもあるのでした(笑) 
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