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『生還者』 保科昌彦 著

2008/09/03(水) 10:22:32 保科昌彦 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
とある書評ライターさんのサイトでこの作品を知りました。
保科氏の作品は初読だったので、とりあえず図書館で借りました。

図書館って素敵。


山奥にポツンとある、民宿旅館。
夜、台風の接近の影響で、裏山が崩れ、旅館は土砂に飲み込まれた。
土砂崩れで道路が遮断されて救助は来ない、電話線は勿論だめだし、携帯も圏外。周辺の住人は誰も民宿が流されたことに気づいていない。
犠牲者は増え、数日ぶりに救助隊が駆けつけたときには、七名の生存者のみだった。
<奇跡の生還者>としてマスコミの餌食になるも、やがて平穏が戻ってくる。
ところが、その<奇跡の生還者>が一人、また一人と不審な死を遂げていく…。

物語は、土砂崩れの中で必死に命を繋いだ時間軸と、日常に戻ってその生還者が次々と死んでいく謎の解明パートの交差。
救助を待つしかない真っ暗闇の中、人間というものは、死を恐れるのか闇を恐れるのか、生物の本能よりも人間のエゴがむき出しになるのでしょうか。
死んでいくことよりも、そのエゴの描写が怖い。
そして、運よく助かって日常に戻ろうとしているのに、闇の記憶と<奇跡>の仲間の不審死が精神を蝕んでいく、その壊れ方がまた怖い。

本格ミステリを読み慣れた人なら、あれ?と思う箇所がとてもわかりやすいので、早い段階で物語の真相には気づくかもしれません。
普段、犯人もトリックも当てたためしの無い私でも、すぐわかりました。
でも、だからと言って、お粗末なものではないです。綺麗にまとまっていると思います。
ミステリよりもサスペンスに近い。
この精神が追い詰められ壊れていく様と、彼を心配する周囲の人々との対比が上手いのです。
図書館の司書としての仕事の描写もありますが、以前に読んだ『れんげ野原のまんなかで』森谷明子著/(東京創元社ミステリ・フロンティア) での司書の書かれ方が表と裏ほど違うので、またひとつ勉強になりました。
一番のネタばれは、壊れていく彼が、彼ではなかったこと、ですね。

余談ですが、この作品の一番の見せ場、最も怖いのは、実は表紙です。
暗ーい部屋で、電気スタンドの光にでも、そっとかざしてみてください。
…気がついた時、夜中に叫びそうになりましたよ私…。


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