こんな本読みました。

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『夏のジオラマ』 小路幸也 著

2011/09/02(金) 09:27:51 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 小路さんのこれまでの作品の中で、どちらかというと小学校高学年~中学生くらい向けの作品といえば、『キサトア』と『僕たちの旅の話をしよう』、もうちょっと年齢層が上がるけど『そこへ届くのは僕たちの声』や『わたしとトムおじさん』も女子中学生くらいなら楽しめると思います。でも基本、大人の読者を意識した展開というかそういうことにはかわりなく。
 ところがこの新作は、真っ向子ども達勝負!
 子ども達が楽しめるように、そしてちょっと立ち止まって考えることもできるように、小路さんらしい目配りの効いた、完全ジュブナイル。見た目は大人、中身はお子ちゃまのワタクシも子どものつもりで読みました(笑)
 過激な描写も男女の痴情のもつれもなく(おい)、夏休みに友達と思いっきり遊びたくなること間違いなしvの爽やか~なお話でした。





いやー、わたしに子どもがいたら、無理矢理にでも読ませる(笑)
楽しいんやもん!

小難しいことはなにもなくて、ただ夏休みのあの解放感を思い出して、リョウやマンタやフミちゃんミクちゃんと一緒に遊んでる子どもの自分をイメージすればいいよ。めっちゃくちゃ楽しいよ!

漢字のすべてにルビがふってあるので、漢字に慣れてきた子どもならそろそろ読めるんじゃないかな。

逆に、大人の目には最初はチカチカして見づらいんですけどね総ルビって(苦笑)、でもそのうち気にならなくなったです。
ていうか、物語の中に遊んでるうちに、ルビのことなんて忘れてたというのが正しいかな。

小路さんの作品全てにおいて言える事ですが、本当にキャラクタの書き分けが巧くて、会話が続いても混乱しないし。好きなタイプのキャラに感情移入して読んでもいいし。読むたびにその「なりきり」キャラを変えてもいい。そんな愉しみ方ができますよね。

で、子ども向けなので日常の謎ミステリとかそんな大層なこともなく、ほうほうwと読むんですけど、読み終わってみると、ちゃんとミステリ的な伏線も仕込んであります。
そしてエンドマークの次のあとがきが!

普通(というべきか、大抵はというべきか)は、物語の文体と、作者が読者に向けて素の部分を少しだけ見せてくれるあとがきでの文体って、やっぱり違うと思うんですよね。

でも、このあとがきは、小路さんそのものでありながら、物語の雰囲気を壊さない自然さで、余韻に浸ったまま読めました。
すごいなと思います。

そのあとがきで、小路さんが子どもの頃にどんな本を読んでいたかということを書かれています。
それを読んで、あぁと納得。
さっき、ミステリ的な伏線がどうこうと言いましたけど、やっぱり子どもの頃の読書経験がずっと連なって今に至ってるんですねえ、と。
ちょっとしたものですけど、145ページのロジカルな展開にニンマリ。
これを読んだ子ども達が、後々になって、あぁあれは自分にとって初ミステリとも言うべき作品だったな、と思い出してくれればいいですよね。(どこまでもミステリ読みなわたし)

夏休み、ということは、8月15日を避けて通れなくて。
戦争、というものに対する、悲しみや繰り返さない決意を、わたし達大人から受け継いでほしい、という願いがこめられているような気がしました。

ラストシーンの、4人の未来への約束。
これって、彼ら4人にとって、この不思議な体験の記憶の共有が、芙蓉美さんのものとは形は違うけどやっぱり「夏のジオラマ」であることに、読んだ子が気付くかな。
タイトルがダブルミーニングだったこと。
…そんな大袈裟ではないけども(笑)、ま、言わんとすることは分かっていただけますよね?大人の皆様w

子どもって、暑いと自覚してても元気いっぱいで、わたしなんかは近くにこんなに元気な子がいたら暑気あたりしそうですが(笑)、でも元気に走り遊び笑い、思い出いっぱい作って欲しい。
毎年、そうしてかけがえのない「夏のジオラマ」をいっぱい作って、それを大人になったときに自在に引き出せるような、そんな人生を送ってほしい。

今、原発事故で、福島の子ども達が置かれている状況を思うと、早くこうして思いっきり遊べる日が来ることを願わずにはいられません。


(2011年 集英社みらい文庫)
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