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『ジェノサイド』 高野和明 著

2011/09/02(金) 09:25:44 高野和明 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 いやーーーーー!!もうすごい!ものすごい!なんですかこの物語はッwww
 各方面で大絶賛のこの作品、ちょっと分厚いんですけど、読む価値アリ!読んでぜったい損しない!てか読まない方が人生の損!←言い切った
 分厚いしタイトル怖いし表紙もなんとなく不穏だし、と尻込みしてるそこのアナタ!とにかくなーんにも考えずに手にとって読みたまへ。
 ミステリーとかSFとかスパイ小説とか哲学とかいうカテゴリにはおさまりきらない、スケールのでっかい物語です。映画を観ているようです。ぷしゅーー…ぷすぷす(燃え尽きた音)






…などと書いてますが。

これ、ハリウッド映画ばりのスケールで展開する壮大な物語で、何の直しも必要なくこのまま映像化できそうなくらい濃密なんですがね。

たとえ実写化できても、日本の劇場では無問題ですけど。アメリカでのリメイクとか日本版そのまま公開なんてぜったい無理!(大笑)原作の英訳なんてもっと無理!(爆)

と先走るくらいに、最近出版されたどの作品よりも素晴らしいエンタメ小説!いや全ての小説を読んだわけじゃないけども。
ともかく、今度の本屋大賞間違いなし!ついでに他の文学賞も次々総ナメしそうなくらい、全国の書店員さんも読者レビューも大絶賛!
いつもは天の邪鬼スイッチが起動するわたしでさえ、これは納得。ていうか、この作品が何かの賞を取らない方が間違ってる。

ただ。
感想としては、書きづらいのですよう★
とにかく、ネタばらししないで書けることが少ない少ない!
前情報なしに読んだほうが絶対にずしんと心と身体に響くので、その震えをぜひ体感してください、としか。

アメリカ、日本、アフリカ。
この三箇所がするりくるりと視点を入れ替えつつ、でも全然混乱なく読み進めていける、そのリーダビリティが素晴らしい!

途中、特に第二部は、かなりキツイです。でもたぶん、これが現実。日本ではまったく報道されないだけで。
アメリカの裏の顔、アフリカ大陸の隠された真実、いくらフィクションだと分かっててもまるっきり創作ってわけじゃないだろうもしかしてこれって全部本当のことじゃないの?だとしたら世界怖い怖すぎる…!ひいぃぃ(半泣き)

登場人物の配置も見事なミスリードで、化学的な難しい場面や哲学的なロジックにいたるまで、すべて計算されつくしてる。
その中に、親子の絆とか友情のはぐくみとか絶望と希望の間で揺れ動く心とか、自然に絡ませてあるので流れは追えますから、多少理系な部分を斜め読みしてもいいと思う。もちろんしっかり文字を追うに越したこと無いけど、根っから文系の人間が理系の文法なんて理解できん。

第三部のクライマックス、事態をほぼ正確に見切っていたアメリカのある作戦立案者の、人類に対する怒りの言葉。この人はもう知性も感情も突き抜けちゃったんでしょうね…一番ずしんときた一行でした。
そう、この作品は、科学者や博士たちの、本能と狂気と喜びと、神への領域に対する挑戦の物語とも言えます。
超大国の大統領が神のごときか、それとも実は人智を超えようとする研究者か。もしくは世界中を網羅する情報機関か?いずれにしても、平凡な人間は、何も知らされないままクライシスに巻き込まれていくのでしょう。

その後、すべてのカタがついて、研人さんが(研人君、と書くとわたしの中では『東京BW』の堀田研人クンになってしまうのでした)日本について言った一言が、おそらく本人の自覚もないままに、日本の未来、人類の未来への猶予期間をもたらしてくれるんじゃないかと読めました。まるで彼がこれから取り組む、人類のための新薬のように。

科学、化学、進化論、戦争、ネット、悪意殺意嫌悪憎悪、希望。
いろいろ取材して資料文献を読み漁って噛み砕いて、この壮大な物語が完成に漕ぎつけるまでいったいどれだけの時間がかかったんでしょう。読んでいて何回もそんなことを思わずにはいられませんでした。

そのなかで、わたしだけかもしれませんが。
あとがきや主要参考文献のリストには書いてないけれど、なんとなく、スピリチュアル世界…というよりはニューサイエンスかな、そういうものも組み込まれているような部分がありました。
わたしにはとても全否定できない、十年ほど前のわたしの精神を救ってくれた、故ライアル・ワトソン博士が提唱した、ひゃっぴきめのサルとか。動物界の悪意とか。『ホワイトホール・イン・タイム』(ピーター・ラッセル著)の進化理論とか。

今ではトンデモ理論として全否定・抹殺されてますが、わたしが読んだこれらの本のなかのニュアンスを『ジェノサイド』に感じ取ったのは、それなりに現実の精神に根付いているのかも。
あくまでわたし個人の印象ですよ?読む人それぞれに感じ方は違うはずなので、このあたりはスルーしてくださいね。わたしの感想ですから。

いやそれにしても。
今年前半に、こんなものすごい小説が読めるとは。
連載当時の一年間、毎月追っかけてたとしたら、こんなじれったい一か月もなかったでしょうねえ★

いつかの未来。
わたし達人類は、人種や宗教や文化に関係なくただ「同属を意味もなく殺すことができるホモ・サピエンス」という一点だけで、地球上から殲滅されてしまうかもしれない。ジェノサイドをする側からされる側へ。ただし、野蛮な手段ではなく、あくまで冷静に、たとえば治療不可能な伝染病や気候変動による食料の枯渇、情報操作による陽動。
そのとき、狩る側の意図に気付いたとき、わたし達の子孫は、祖先を恨むだろうか。それとも諦めるだろうか。
わたし達の子孫の運命は、今を生きるわたし達にかかっているんだよ、この作品のタイトル『ジェノサイド』は、そんな細い希望の糸のように思えてしょうがないのです…。


(2011年 角川書店)
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