こんな本読みました。

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『幽霊人命救助隊』 高野和明 著

2011/09/02(金) 09:25:12 高野和明 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 わたしはあまり映画を積極的に観る方ではないんですが、【13階段】をご覧になったかたなら分かるかな、高野和明さん。
 …実はわたし、本の方でも高野作品をそんなに読んでなくて…『6時間後に君は死ぬ』くらいしか読んだ記憶がない…。
 ですが、今年はそうも言っていられない事態に!
 巷で大絶賛の新刊『ジェノサイド』、なんかもう近いうちに賞レースに乗せられて数ある文学賞のふたつやみっつ、とりそうな勢いでしょ、そうなったらもう読まなくなるのは分かってるので(天の邪鬼め)今のうちに読まねば!と現在頑張っておるわけですが。ちょっと文体に慣れるためというか予習のつもりで、読み落としてたこの作品を読んでみました。
 この作品を執筆されていた当時の高野さん、書いてて鬱にならなかったのか、ちょっと聞いてみたくなりました…(苦笑)






けっこうページ数はあるほうだと思いますが、最初から最後まで一貫してるのは、「自殺はしちゃいかん!生きろ!」という強いメッセージ性でした。
受験に失敗して19歳で自殺してしまった、裕一君を中心に、それよりも以前に同じく自殺した3人の幽霊が、チームとなって地上に下りて、四十九日の間に100人の自殺志願者を救え、というミッションに従事させられる話。短く言ってしまうとこういうことなんですが。

ひとりひとり、同じ人生はひとつとして無いように、自殺の動機も人それぞれ。そこをどうやって対処していくのか。
そして予想できることだけれども、救おうとする人の中には当然、自分と似たケースもあるわけで。
既に自殺を後悔している4人が、自分にももう少し違う生きようがあったんじゃないか、と身をもって実感していくわけです。

地上に下りたのが現在の日本で、裕一君を除く3人が昭和世代なのでまずジェネレーションギャップに苦笑い。
昔の人には体験できなかった携帯電話や社会と他人への無関心や虐待とイジメの問題や、そういう今の暗い部分を、昭和世代の人が見たらどう思うだろう、という展開。
そして、今の人々は悩むことすら投げ出して虚無感に囚われたり逆に悩みすぎて破綻したりする極端な様子を、同じ人間なんだから本質がそう変わるもんでもないと必至に考えて助けようとする八木さん、市川さん、美晴さん。
この設定が上手いんですよね、この作品www

死ぬ勇気があるなら何でもできるでしょう、と言うのは簡単ですが、今で言う鬱になった人にどこまでその言葉が伝わるか。
その必殺アイテムがあのメガホンなんじゃないのかな。
伝えるなんて優しいもんじゃなくて、大声で聞かせるの。強制的に。
自殺を考えるまで思い詰めてる人に、違う道筋を指し示すための。

ふっと肩の力が抜けた、とか、ふと違う考えが浮かんだ、とか。神様の声みたいなのを聞いた、とか。
そういうのは、このメガホンかもしれないよ(笑)

なんでもかんでも「鬱だ」と決めてかかるのはどうかと思わなくもないお話なんですけど、要は、そこまで思い詰めてる人に必要なのは、悩みを聞いてあげることよりも前に、共感してあげること。孤独感が鬱を招くなら、寄り添う人がひとりでもいれば話は変わってくるでしょう?と。

今の時代、みんながどこかに孤独感を抱えてるけど、その孤独感は「人間、死ぬときは一人」という生来のものじゃなくて、コミュニケーション不足が原因なのでは?
自殺を考えるほどの悩みに対して、物理の理を若干超越してるこの4人のような解決法を導くことはできませんが、そういう人が身近にいるならわたし達にできるアドバイスは、ともかく専門家(お医者さんや弁護士や保険屋さんとかそういう、自分が死ねば解決するであろうという根本にかかわるプロ)の知恵を借りることを躊躇うなと何度も言ってあげることも有効、ということかな。

つまり、一言話すことから始まって、そうして何度も何度もお節介なくらいに気にかけてあげれば、まず孤独感が消える。そうすれば、気持ちと視線が変わる。悩みの本質を見つめ直す強さが持てる。そうして少しずつ強くなれ。

人生を自殺という安易な逃げ道で終わりにするより、休息という逃げ方や一度すべてを手放すという逃げ方も考えろ、それは弱いことじゃないよ、心の強さなんだよ、ということでしょうね。

そして、命ある限り生きていれば、未来は変わる。確定した未来なんて無いし、現在を這ってでも頑張れば暗い想像しかできない未来が少し明るくなるかもしれないよ。

八木さんの動機、美晴さんの悲惨な死に様、市川さんの末路、どれも悲しすぎて言葉もないですが、自分のことしか考えないで死んでしまった当人よりも残された家族の方がもっと辛い、一生嘆きと後悔に苛まれて生きていくんだよ、それでもいいの?と。
裕一君の遺族がそのモデルケースだったんですよね…。お父さんへのメッセージでちょっと泣いた☆
それまでの99人を助けてきた裕一君(達4人)だからこそ、響く、さいごの言葉でした。あれが遺言ですよね。

自殺志願者のSOSを見逃さないために、寄り添ってあげられるスキルのひとつとして、読んで損はしないです。

ラストはまあ想像どおりだと思いますが(笑)、ともかく4人が助けた人達はだからってバラ色の人生にひっくり返るわけじゃありません、自殺を考えていた時よりは精神状態はいくらか安定してますが、むしろ生き直す決心をしたことでこれからも苦しむでしょう。だからこそこれからの人生は、頑張り過ぎない程度に頑張れ、そして時には休んでいいよ、という明るさを持つ、重いストーリーでした(なんちゅー締めや!)
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