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『ポリス猫DCの事件簿』 若竹七海 著

2011/09/02(金) 09:21:21 若竹七海 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 猫好きにはたまらんシリーズwww前作『猫島ハウスの騒動』も愉快でしたが、今回はDCがかなりクローズアップされてますね(と言っていいのか…)。あ、DCは猫です、あしからず。
 赤川先生の三毛猫ホームズシリーズや、海外モノで猫(もしくは犬)が擬人化されたようなミステリーはたくさんありますが、若竹さんのこのシリーズの猫達の活躍はそれらとは違ってごく自然です。それだけに読みやすいと思いますよ。ぜひ。





今回は短編集なんですけど、独立しているようで実は繋がってます。だから連作短編ですね。
地中深くに流れる水流がやがて地上に出てくるような、そういう低く響く謎があって、その上に一話ごとの騒動がどたばたと描かれてます。

前作『猫島ハウスの騒動』の時と同じ、ポリス猫DCと、七瀬巡査の活躍。この七瀬くんがなかなか鋭いです。愚鈍なおまわりさん、というものに不自然さを感じるかたには、これくらい走り回って揉め事の仲裁をして聞き役に徹して謎を解くおまわりさんなら大丈夫でしょう。

で、前回と違うのは、この猫島が、観光地化されてること。それも「猫」をまつりあげて。たぶんモデルは田代島。
(田代島の一日も早い復興を、我が家の猫達とともにお祈りします。また猫好き観光客が、田代島の猫達に会いに行ける日がきますように☆)
あと、ポリス猫DCは、和歌山のたま駅長と同列です(笑)
住人と同じように島に馴染んでる猫達が、またそれぞれ個性豊かで、猫好きにはどんどんイメージがわきます。

さてさて、住人は島の暮らしが猫に支えられてるのをちゃんとわきまえてて、でも本土のお役人(特に市長)はまったく理解していなくて、その噛み合わないやりとりも例えば地域猫問題の近所づきあいの難しさと似てるし、島の住人だってせいぜい猫を利用してちょっとでも目立とうとする。
そういった、コミカルさの中に確かにあるんですよね、人間の瘴気のような悪意とか。このへんは、さすが若竹ミステリ。

食えない宮司やしっかりもののお土産屋さんの娘、今回は島にがやがやどやどやと人が大挙して押し寄せるので警備員さんも大事なキャラクタ。他にもお調子者の若い男子やリゾート施設の支配人、ライバル心むき出しなんやけど傍から見たらどっちもどっちなオバサン2人。

猫も人間も個性豊かで生き生きとして、七瀬くんもさぞ疲れるだろうにそれでも言いたいことをぐっと飲み込んで駆けずり回り。DCは悠々と猫の仕事をする、だから興味を引かれたら一直線でも気が変わるとすぐ忘れたりする(笑)

冒頭にも書いたように、よくある擬人化や、ペット同士の会話でニンゲンをこき下ろして自分達が謎を解くんだ!とニャーニャー泣き喚く不自然なミステリーとは違って、若竹さんの猫ミステリは、普通の現実、わたし達が馴染んでる世界の猫達の 自然な動きや自分が何か解決に寄与した自覚なんてまったく持っていないけど実際それが事件の謎を解くカギになる、ということで、引っかかることもなくするする読めて楽しめると思います。

そんな感じで人間も猫もその立ちすぎなキャラで走り回ってるので(笑)、ちっちゃい島の中の出来事とは思えないくらい、忙しいですよ♪

ひとつひとつの騒動は、一見小さいようで、でもラストになるとそれがいろいろ効いてくるので、短編集ではあっても長編を読んでるような高揚感がありますね。

私としては【爆弾騒動】と【消えた魔猫】が楽しかったかな。で、【幻の雪男】で七瀬くんに拍手喝采。もちろんDCにもねw

で、DC好きなら。
やっぱり【食前酒】と【デザート】は、猫好きにはなかなか我慢しきれないものが…。野良として厳しい環境で太く短く生きる猫と、ひょんなことから才能を発揮してスターになってしまう猫と。
可愛がってくれる人間が、野良だろうがスター猫だろうが変わらず、人間よりはるかに短い天命を全うするまで変わらずに、笑って寄り添ってくれる社会が、猫島ならぬ猫のパラダイスなんでしょうね。

若竹先生のミステリはコミカルな中に黒い部分や悪意もあって、笑ってばかりもいられない作品が多いですが、このシリーズはわりとそういうブラック度は薄めかもしれません。猫のおかげかな。
猫嫌いなかたには無理にとは言いませんが、まあ読めるなら読んでみてくださいw 


(2011年 光文社)
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