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『放課後はミステリーとともに』 東川篤哉 著

2011/09/02(金) 09:22:07 東川篤哉 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 えーと。最初にお断りしておきますが、わたしは以前から東川さんのミステリは読んでるんですよ!テレビやネットでの評判にうかうか乗っかって読んでみた東川ミステリビギナーじゃないんですよッッッ!!ぜーはー…。
 いや、これ言っとかないと、なんですか七十五万部も売り上げたってマジですか『謎解きはディナーのあとで』で世間の尻馬に乗った俄かファンみたいで悔しいんですってば。
 だいいちわたし『ディナー』って烏賊川市シリーズよりもよかったようにはおもえなげふんごほんだから感想文書いてないでしょ(苦笑)
 本格好きとして言うなら、本書の方がレベルは高いと思います。キャラ云々は別にしても楽しかった!




ええと、わたし、『ディナー』の何がまずかったかって、ミステリ部分もしっかりしてるのに、お嬢様と執事の倒錯っぷりというかキャラを立たせるために展開してるシーンがあちこちにあって、ミステリに集中できなかったんですよね…それを楽しいと思えた人が心底羨ましい。わたしはどーしてもノれなかったから、作者の意図に添えなくてごめんなさいなのでした。この罪悪感がね…余計になんというか…。

で、次の新刊はどうしようかと思ってたんですけど、本格ミステリ向きだという超有名書店員さんの評を信じて、買ってみました。
はいはい、これはOK!
これもキャラ立ちしてるけど、これくらいなら烏賊川市シリーズでもあったことだし大丈夫w
むしろちゃんとミステリのガジェットとして使われてる部分も含めて面白かったよ!

この連作短編集がまた、1話ごとに叙述トリックに人間消失、足りない足あとに(厳密な密室じゃないけど)密室トリックに毒入りトリック…とまあ、本格好きにはおなじみのものばかり。
で、前作から初めて「本格ミステリ」というものに触れたビギナーにも、どっぷり浸かってるわたしのような言うことだけはいっちょまえなスレた読者にも、満足できる本格度だったと思います。

これ、帯に書いてある「霧ケ峰涼」が主人公というか視点人物なんですが、帯のとおり名探偵かというと…。
ワトソン役の方が多いんですけど、この主人公が探偵役として話を締めるものもあり、おそらく、ミステリーを読み始めたばかりの人が抱く、「なんでいつもワトソン役は愚鈍なんだ?」という疑問、これをセオリーと取るかありえないととるかでミステリ好きになるかどうかの一つの境界線だとわたしは思ってるんですが、そういう杞憂に配慮したんじゃないのかなーと思えました。

ミステリーの主人公なんだから探偵であって当然で、でもミステリの定石として語り手がワトソン役の方が読者と推理を共有しやすい(名探偵は読者の思いもよらなかった名推理を開陳してくれなきゃ!(笑)) という利点も考慮して、連作短編集なんだから1話ごとに主人公と探偵役の役割を変えて飽きさせないようにと。
このあたり、東川さんのユーモアミステリの本領発揮、だと素直に思いましたよ。

全部で八話収録されてるんですけど、わたしが特に好きなのは、【屈辱】と【逆襲】と【放課後】かな。
特に【逆襲】と【放課後】は、主人公が探偵になってる二話なんですが、どちらもかなりブラックです。犯人の思考が。
あと【屋上密室】はタイトルどおり密室もののカテゴリなんだけども妙な現象のせいでその不可能性がマニアックじゃない感じ。
ああでも最終話の、ロジックもなかなか。

注意点として。
この本は、一話目から順番に読んでくださいね!ぜったいですよ!
一話目と最終話のずらしかたが上手いなあ。最初は読者を、次にキャラクタをどうやって騙すか。読者はどこでソレに気付くか。

それぞれの探偵役は顧問の先生だったり友達だったり教科の担任だったり先輩だったりしますが、こくまともな人からエキセントリックなおかたまで、バラエティ豊かです。楽しいよー。

これ、霧ケ峰涼しか部員が出てこない探偵部なんですよね。多数決で決を取ったりするモノローグがあるので、“探偵部”は存在するんでしょうけど。
なので、学校全体、生徒も教師も含めて、別に部員じゃなくても誰もが探偵になりうる人材の宝庫、ということでよろしいですか。

月刊誌では烏賊川市シリーズの連載も始まってるので、近いうちに今度は鵜飼さんたちの活躍が読めますよね。楽しみ楽しみwww


(2011年 実業之日本社)
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