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『愛は血を流して横たわる』エドマンド・クリスピン 著

2011/06/24(金) 09:26:06 エドマンド・クリスピン THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 かなり前に図書館で借りて読んだっきりで、実は犯人が誰で動機は何だったかとか、ぜーんぜん覚えてませんでした。
 なので新鮮に読む一方で、はて、単行本での訳はこの文庫と同じだったかな?新訳かな?とも。
 ジャーヴァス・フェン教授のキャラクタは変わりませんが、なんていうか、文章がかなり現代風な印象。
 わたし、クリスピンのミステリは好きなんです。でも傑作と名高い2作品が未読…復刊プリーズっ☆☆



ちなみにその未読作品とは、『お楽しみの埋葬』と『消えた玩具屋』。ねー、アホでしょ★ううどこかに落ちてないかな(涙)

(アマゾンで見てみたら、国書刊行会から出た単行本の方も今回の文庫も、翻訳のかたは同じでした。たはは。でも綺麗さっぱり忘れてたおかげで、新鮮に読めましたwwwで、やっぱり面白かった!)

で、訳といえばもうひとつ。
植物の名前に、律儀にひとつひとつ漢字表記。
薔薇、楡、はともかく。
山毛欅(ブナ)、金鳳花(キンポウゲ)、熊葛(くまつづら)、山査子(サンザシ)、匂紫羅欄花(においあらせいとう、ってどんな花…?)、雛菊などいろんな植物の名前が出てくるんですが、翻訳モノではほとんどが、こういうのはカタカナ表記だったような気がする。ヒアシンスも出てきたけどこれはカタカナ。確か漢字あったよね、ヒアシンスって。
あと、胼胝とか肉刺とか、そういうのも漢字。
ということで、なかなかに漢字の多い文章になってます。
読みやすいととるか読みにくく映るかは、読者それぞれ違うでしょう。

立て続けの事件が起こって、前半というか半分過ぎくらいまでは、容疑者たちのアリバイ確認にほぼ費やされてますが、後半に入ると結構サスペンスフルな展開。
で、真犯人は誰?という大詰めはまた派手なカーチェイス。
読者の前に真相が語られるのは、ほぼ終章です。
その解決シーンが、なんとも清冽。
フェン教授がインプットしてきた、聞いたこと見たもの、その全てが手掛かりとして読者の前に晒されていたにも関わらず、犯人がさっぱり分からなかったわたしには、フェン教授が筋道立てて説明してくれるそのロジックがすっきりと納得。ていうか、手掛かりが出てきた順番どおりにその伏線が回収されていって、どれとどれを繋ぎ合わせたかとか(結局のところ真相は推論でしかなくなってしまったのだけれども)犯人の動きとかそういうものを、ココまで読んできた読者諸君おさらいですよとでも言いたげに懇切丁寧に1本の筋道にしてみせる。
探偵役の脳内では、その時その時どういう思考であったのか、どういうとっかかりを得て結び付けていったのか、分かりやすく解説してくれているので、そうかー探偵ってのはこうして謎を説いていくのね!と、なんだか商売上の秘訣をこっそり教えてもらった感じ。
それを説明しすぎととる人もいるだろうし、もちろんわたしのようになるほどー!と膝を打つ人もいると思う。

解説にあるように、ものすごーく狭い地域、狭い範囲での事件。途中で、気楽な旅の若者が出てきてようやく外界からの風が吹き込むくらいで、終盤のカーチェイスでさえよく考えたらかなり滑稽な状況なんですけど、まあ《学園ミステリ》の範疇だと思うので気にはなりませんね。
そしてフェン教授がめっちゃ陽性のからりとした人。こないだ読んだ『大聖堂は大騒ぎ』のときのようなちょびっと変人ぽいこともなく、終始ごくごく理性的。
クスリと笑う場面もあるし(特にカーチェイスのドタバタでキレる警視に大笑い♪)、連続殺人事件というのにちっともグロくない。

カーに夢中になったというクリスピンですがカーほど不可能犯罪バリバリでもなく、ミステリを読み始めたばかりの人に欧米黄金期の古典ミステリってどんなの?と聞かれたら、いきなりカーやEQや少し年代が上がるけどヴァン・ダインやチェスタトンのような巨匠から入るよりも、クリスピンを読んでみたら?ってオススメするのはいいと思う。

なので、クリスピンの作品を、入手困難(絶版)になってる『お楽しみの埋葬』『消えた玩具屋』も復刊させてずらりと創元推理文庫に入れてくださいお願いします!

(創元推理文庫)
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