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『探偵ザンティピーの休暇』 小路幸也 著

2010/12/15(水) 10:43:45 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 文庫書き下ろしの最新作。小路さんに限らずご贔屓の作家さんの書き下ろしというのはたいへん嬉しくてどきどきするものですが、小路さんの作品はその気持ちが一層つよいかな。
 あんまりもったいないので、なるべく時間をかけて読もうと。自分比。
 なんかね、ものすごく楽しかったんじゃないかとおもうのですが、これを書いてるときの小路さんwww
 これまでの小路さんの作品、ご本人がリスペクトされてる作品、そういうものを程よくブレンドしたような感じです。





最初、このタイトル、『探偵ザンティピーの休暇』って初めてリリースされたとき、ちょっと変わった名前で言いにくいというか覚えにくいというか、そんな気持ちがしたんですが。

アメリカでは珍しくない名前なのかな。

申し訳ないけど、わたしも日本のみんなのように、「ザンテさん」でいきます(笑)

で、このカバーイラストがね、なんで「休暇」なのにコレ?とおもったわけですが。
ほうほう、つまり、このしゃれこうべは「探偵」に掛かるものだったんですね☆なるほどー。

私立探偵に限ったことじゃなく自由業というのは、1年365日がずっと仕事でありフリーなんだよ、と聞きます。
探偵さんにとって、休暇は仕事とイコールなんでしょう。
そういうイラストであり、ザンテさんのカッコイイ背中ですよwww

とにかくもう、楽しくくいくい読めるんですけど。
その一番の要因は、ザンテさんの話す日本語!
ふつう、外国に飛び込んだらその土地の言葉で苦労して、それが一種のミスリードになってる場合が多いんです。
でもそんなややこしいことは、ザンテさんのアメリカ人らしい自負(耳が良くて言葉に不自由しない能力)が全部引き受けてくれました。
だからめっちゃ読みやすい。

そのザンテさんの日本語が、……これはもうどこからどう見ても堀田家の勘一さんですて!(大笑)
小路さんのファンでなくとも『東京バンドワゴン』シリーズを読んだことのあるひとなら、馴染みのあるあの雰囲気が立ち上ってくるようで、すっと作品世界に入れますw

日本独特の風習と、アメリカにも共通する普遍なこころ、そしてどこにでもいるお節介で好奇心旺盛な人。
あえて話さないことはあっても嘘をつかないことで、ザンテさんは誠実な人です。
サンディちゃんのお兄さんというバイアスが、笠島家をはじめ町の人たちにかかっていたとしても、ザンテさんの話す日本語と日本を理解し尊重してくれる立ち居振る舞いと人柄で、どんどん溶け込んでいくのが。いいなあ。

頑固爺ちゃんにおしゃまな子ども達に美人で妙齢の女性と素朴な先生。
日本の北の、大都会で育った兄妹からすれば何にもない町の、本当の価値。雄大で壮観でのどかな自然。町の皆が家族のような付き合い。サンディちゃんの幸せを保証してくれる、優しい環境。
日本びいきのザンテさんが、何度もこのまま日本に住み着こうかとおもうほど。
こういう日本の原風景の描写、小路さんは上手いですよね。

わたし、読み進めていっておやこれどこかで…?と感じたんですよね。
で、キーワード?が出てきて思い出した!(195ページ)
ヒラリー・ウォーの『この町の誰かが』だ!
小路さんもお好きだというウォーの、この作品の、Who?という謎がこの作品にも共通してるし。
ウォーのあの片田舎独特の朴訥な感じ。

推理小説、探偵小説というよりは、やっぱり小路さんならではのハードボイルドです。
ミステリ、というのは主に、謎解きに重点置きすぎて小説の部分がついてかないところもあるし、第一、探偵自身の身の危険はそんなに多くない★
展開上、探偵の背後に危険を感じ始めるというのは、やっぱり広義の「ミステリー」の中でも「ハードボイルド」ど真ん中です。
幻冬舎文庫のミステリフェアという帯はいいけど、裏表紙のあらすじの最後、「痛快ミステリ」というのとはちょっと違うとおもいますがいかがでしょう?ここはやっぱり、「痛快ハードボイルド」でいきませんか幻冬舎さん。

エピローグで踊りだしそうになったことは秘密www
まさかこんなサプライズがあるとは夢にもおもってなかったよー!
てことはこのザンテさんの物語は、あれよりもうちょっと後の時代になるんですよね♪
なんかじわじわ嬉しかったwww

難しく頭を使うこともなく、何か重いメッセージを託されたわけでもなく、楽しく読みました。
ザンテさんとジュンとマコで、できれば続編をお願いします小路さんwww


(幻冬舎文庫書き下ろし)
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