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『笑ってジグソー、殺してパズル』 平石貴樹 著

2008/09/03(水) 11:13:40 平石貴樹 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 名探偵ニッキのシリーズデビュー作。といっても、初版は1984年に集英社から。2002年になって東京創元社から再度文庫化されていたようで、私もそれを入手しました。実は昨年、『誰もがポオを愛していた』というニッキの活躍する長編を読んだのですが、それが二作目でした。
 とにかく面白い!本格ミステリ、それも純粋推理をお好きなかたは是非ご一読をオススメします。
 例によってネタバレしていますので、ご注意くださいませ。



もうもう、本当ーに面白かった!
既刊本ベストの一冊が早くも決まった感じです。

国際ジグソーパズル連盟日本支部長としてジグソーの普及に努め、また大手商事会社、三興商事を取り仕切る興津家の女主人でもある興津華子が、療養中の自宅ベッドの上で、胸に刃物を突き立てられて死んでいた。しかも、遺体のまわりには、ジグソーパズルが撒き散らされていて。
華子の夫で三興商事社長の興津栄太郎をはじめ、娘(実子)の徹子と婿養子の貫太郎夫妻、養女の節子と貞夫夫妻、同じく養女の麗子と壮一夫妻、他、壮一の弟の業平操介、三興商事のグループ会社である三興製薬の松岡社長や重役たち、華子と付き合いのあった骨董品店の店主・浜本。
その他にも家政婦や運転手、興津家の叔母たち。
こうしてみると、びっくりするほどの数の登場人物ではないのに、これが連続殺人に発展していく。
二番目は華子の夫・栄太郎。彼も妻と同じ部屋でジグソーパズルの中で。そして…。

先に読んじゃった『誰もがポオを愛していた』でもそうでしたが、このシリーズの探偵ニッキ(本名、更科丹希/法務省特別捜査官)は、人間的にはどこかおかしいです。帰国子女という立場からみても警察官じゃないからなのだとしても、実際にこんなのがいたら、横っ面張り倒すかもしれない私。
彼女は事件について、容疑者たちの動機を一切切り捨てて、物的証拠や証言、自分の眼で見た不可解な謎だけを頼りに推理を展開していきます。

そうです!綾辻・有栖川両先生からの挑戦状、【安楽椅子探偵】と全く同じように、動機面を無視して純粋な推理だけで、これこれの論理的思考の結果、犯人はこの人でしかありえない、という、あのスタイル。
あの世界が、まさにニッキの頭脳の中にあるのです。

だから、よく推理小説を批判されるときに言われる“人間が書けていない”どころか、人間の心理描写をすぱっと削ぎ落とし、動機を持つ容疑者を並べながら、手がかりを散りばめているのですよ。

これがミステリ好きの心にビシバシ響いてきて、読んでいる間は楽しくて楽しくてもう。

何故、遺体の周りにジグソーパズルが撒き散らされているのか、消えた注射器は何処へ?また何故持ち去られたのか?
容疑者たちのアリバイを一つずつ確かめながら、犯行可能な人物を絞り込んでいく。
勿論、それぞれに動機はある。
また、警察の聴取に口を閉ざす人たち。どうしても話せない、秘密。

ニッキがどのあたりで真相に気付いたのか、とにかくその秘密というのは確かにうかつには口に出せないもので、哀しくてしょうがないし、ある人物に対して猛烈に腹が立つし。ニッキが純粋に思考を重ねていった結果辿り着いた真相に、とても哀しそうな表情をした彼女自身がいて、やっと好感がもてました。それまでは、動機を重視した殺人事件なんてつまらないとか、もっと連続殺人になれば手がかりがつかめるのに、とか、あんまり褒められた考え方じゃないですよね。刑事が現場で難しい顔している横で、「アハハハ」と笑われたら、誰だってムッとするわ。

何故ジグソーパズルが…。
でも、ジグソーを組むのにかかった時間をアリバイに主張する容疑者達に、ニッキが暴いてみせたアリバイ崩しは見事でした。
なるほど、確かにこの手なら、時間が短縮できる。一回でもジグソーパズルに取り組んだことのある人なら納得できるはずだし、その手があったか!と思う。まあ、ニッキより先に気付く人もいるかもしれないけれど、私は全く、でした。

読み終えて、なんだかジグソーがやりたくなってきてねえ(笑)。
うん、孤独な時間、自分の心と向き合うのに最適なパズルかもしれないですね。
ただ、そんな時間は今のところ、どこにも無いけど。

作者から、読者への挑戦状も挟まれているし、アンフェアなところはどこにも無いし。
本格ミステリが好きなら、めっちゃ面白いはずです。

昨年の『スノーバウンド@札幌連続殺人』でも、真相が明かされると、ああっと心底驚かされた平石さんの本格ミステリ。もっともっとこういう小説を書いていただきたい。『誰もがポオを愛していた』は、エドガー・アラン・ポオの作品をいくつか読んでいないと分からない部分の多い、まあそれでも面白い作品でしたが、本作なら、ジグソーパズルの経験があれば大丈夫。すんなり世界に入れますよ。


(2008.01.30)
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