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『長弓戯画 うさ・かめ事件簿』 滝田務雄 著

2010/08/17(火) 15:05:27 滝田務雄 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 わっはっはっは!!
 うーわー楽しいwww
 滝田さんといえば『田舎の刑事の趣味とお仕事』、『田舎の刑事の闘病記』という人気シリーズがありますが、これはどれも連作短編集だったので、初長編を楽しみにしておりました。そして出たのがこの作品。
 『田舎の刑事~』シリーズも脱力系ミステリ(ていうか、ミステリの細かいジャンルに「脱力系」という枕が付いたのは、このシリーズが最初かな?)ですが、この長編『長弓戯画』も十分脱力系で、でも骨格というかかなりかっちりした謎解きミステリです!ふふふ面白かったー♪
 さてさて、ネタばらしせずに、感想書けるものかどうか。





イケメンで身なりもそれなりに気を使ってるくせに、性格はヘナチョコで臆病な少女漫画家・マーチ宇佐輝こと鹿野山宇佐輝と、カレの担当編集者で超ドSの小亀ミドリのコンビ。
もうこのふたりの掛け合いが楽しい楽しいwww
ヘナチョコっぷりとドS具合がぴったりで、くすくす笑いつつ、でも事件は込み入っていてしっかりした謎解きミステリなのですよ。
ふたりの他にもミドリのパパとか警視庁のキャリアさんとか、脇を固めるキャラがそれぞれ個性的。まず名前に笑ってしまうので、慣れるまでニマニマしますが(苦笑)
容疑者と思われるキャラクタ達でさえ、コレ誰だっけ?という混同はないです。
で、その容疑者の人物造形がいささか浅いなあ、と思っていたのですが。たぶんこれも計算されてますね。

発売前のツイッター上でちらりと流れた情報にあったんですが、確かに、引っかかる箇所があります。
謎解きのラストで宇佐輝さんがちゃんとそのことに触れてますね、で、あーやっぱりそうかーというのと、うわー…ってことはこんなに分かりやすいフラグなのにしっかりラストまで引っ張れたのか!という驚きと。

宇佐輝さんのホームズ役・カメちゃんのワトソン役が、キャラの倒錯っぷりとは対照的に真っ当でして(笑)、確かにどたばたしてる展開なのにふたりはずっと推理ばかりしてるよww
ということで、パズラーでしょうね、これも。…いやあまりに強烈なキャラなので、脱力系という言葉がぴったりで、本格ミステリのひとつ・パズラーです!と前面に押し出していいかというと、ちょっと趣向を曲げてしまう気が…。

もしかしたら宇佐輝さんの身も危険なのか?!という展開とそのオチは中弛みしがちな中盤をピリッと引き締めていて、そこから出てきた新事実が解決に繋がっていく盛り上がり方が上手いですねえ。

ただーし!
謎のひとつだった殺害方法のついてのトリックは、はっきり言っていいかな、バカミスに近い(笑)
いや確かにそれなら条件が崩れるけどっ。別の意味でも力が抜けたよ…。

たぶん、この作品はトリックよりもロジックを追求したのでしょうね、『田舎の刑事~』でもそうですが。
ということで、犯人特定に至るロジックは、美しいと感じました。前提(発想)を逆転させて成立したパズルは納得できるものだった。うん。
なのに、犯人たる条件は、ごくシンプルなんです。一年前一年前となにかっちゃ誘導されるので、ついつい絡めて考えてしまうのですが。どっちかに集中できれば読者の勝ちですねv
伏線の部分はものすっごく分かりやすい。ヒントが何箇所かあるんですが、明らかにあの部分ではわたしも、ん?と思いましたよ当然。でも宇佐輝さんたちが遭遇した方の事件の被害者の言動が目くらましになってて他の伏線と一緒に紛れ込んでしまう。で、ロジックが完成すると、そこがぽっこり浮かび上がる。トリックとかアリバイとか、一年前の事件との絡みが消えてしまうほど薄くなった気がした。

被害者と真犯人が行動を共にしてた理由、一年前の事件が今になってどう絡んできたのか、についての細かいところは、なんとなく唐突な感じもしたんですが、殺害動機が分かればOKでした。ちょっと盲点だった。

カメちゃんのパパとの初対面で見せた演技が板に付いてて、途中でボロが出ないという時点で、宇佐輝さんの素はこっちだと確信しましたが、どうやらこのあたりの過去というか真相は、これからのシリーズ化を見越してのようですね。
ていうか、わたしがシリーズ化を熱望しておりますwww
もっともっと、宇佐輝さんとカメちゃんの倒錯コンビの活躍を読んでみたいもん。
わたしの好き嫌い傾向をご存知なら、カメちゃんはどうだろうと思われるかもですが、なんの大好きですよこのお嬢さんwww
少なくとも、(引き合いに出して申し訳ありませんが)三津田さんの刀城言耶シリーズの編集者・偲ちゃんよりよっぽど好感が持てたのですが。ひょっとしてわたしもマゾっ気が?!いやいやいや(汗)
エピローグのふたりの様子が、いいんですよねえ♪

短編は短編なりに楽しく読ませてくれた滝田さんですが、こうして長編も見事にパズラーを書いてくれてうれしい限りwww
ぜひ続編もお願いしますねー☆


(2010.7 東京創元社ミステリ・フロンティア)
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