こんな本読みました。

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『コンビニたそがれ堂』 村山早紀 著

2010/05/26(水) 18:30:01 村山早紀 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 大号泣…!
 村山先生、これ、電車の中とかカフェとかで読めません!ほろほろ程度ならまだいいですが、滝のような滂沱の涙を流してしゃくりあげてるオバサンがいたら、周りの注目の的どころかずざざざざっと引かれます★若くて美人なお嬢さんなら多少泣いてても横からそっとハンカチ出してもらえるでしょうが、わたしみたいなのがおいおい泣いててもぶちゃいくな泣き顔は逆に公共の迷惑だ。
 底本は児童書で、この大人向けに文庫化されるにあたって加筆されたり漢字を増やしたりと骨折ってくださったそうですけど、そのおかげで大人のこころに染み渡る、切なくて優しいファンタジーを読む機会に恵まれたことは、僥倖というしかありません。




2作目の『奇跡の招待状』を先に読んでたもので、たそがれ堂の不思議なあたたかさに何の躊躇もなく、主人公たちがそこに辿りついたときには、ああよかったねえ、これからどんな不思議を体験するのかなあ、とドキドキしながら読んでました。

それにしても、今回も、というかこの1作目の方が先ですよね、なんとも身につまされるような、身に覚えがありすぎるような…。

好きな子と一緒にいるのは楽しいし嬉しいし、でも他の友人達に無責任に囃し立てられるのは居心地悪くて、つい邪険にしてしまうことも。

母がわたしの理解の範疇を超えて、ただ理不尽に八つ当たりしたりわたしの尊厳を踏みにじるようなことをすることも。

毎日の繰り返しの中で、自分の存在の意味がわからなくなって、つい安易な人生に流されてしまいたくなることも。そして実際に今、安穏としているだけの、半分は流されているような生き方であることも。

縁があってめぐり合えた、大事なねこに、その存在に救われることも。
わたしがいっそねこだったら、どんな風にしてこの子たちと遊んでたかなあとおもうことも。

子ども心に大切にしていたモノ。壊れてしまったモノの思い出。

たそがれ堂という不思議なコンビニ、わたしもいつか、何かをなくしたときに、ふらりと迷い込んでみたいです。
そこでわたしは、一体何を探しているのか、たぶんそれは、意識的に思い浮かべたものじゃないとおもう。無意識のさらに下にあった、おそらく、実はあえて見ないようにしていたものじゃないかとおもいつつも、ひところ流行った自分探しの旅に出るよりこの「たそがれ堂」に行ければ、哀しいおもいを受け入れて少し強い自分になれる気がする。

哀しみを知らなくて強くはなれないとおもうから。

個人的なことになりますが、【手をつないで】のママは、そのままわたしの母親です。あ、父親もちゃんと健在なので、そういう余裕の無さとは違いますけど、とにかく娘には理解できないスイッチが入る。(娘と言っても99%わたし限定ですが)
そうなると母親は誰の言う事も聞かない。ただ当り散らしてわたしの存在を否定して、まるでわたしのことを故意に傷つけているかのようにおもえたのも。
そして、従弟とあるとき話していて、母親のきょうだいはみんな似たり寄ったりのキレ方をすることが分かり、つまりこれは、祖父母のことにまで遡った話になってしまうのでした。

だからこのえりかちゃんの気持ちは痛いほどよくわかる。でもたぶん、このママの内面もなんとなく想像できる。ファンタジーなのにまるで、わたしの昔のアルバムを見ているような気持ちでした。

【桜の声】これぞまさしく不思議体験なんですけど、最後に桜子さんの横を通り過ぎてく女子高生たちの嬉しい会話、こういう「実感」を持てないから人は惑い流されるんですよね。なかなか凝ったシチュエーションなのに、わたしには一番現実的に思えました。

【あんず】はもう涙でボロボロでしたー…。
こんな風に、幸せに生きていてほしいなあと、つくづくおもったよ女王様も楓も。
長生きしてねーほんまに。
白猫さんなら白いワンピース…じゃあウチの三毛たちはもしかしたら迷彩服かもしれん…☆そうおもうと、なんか妙にぴったりでちょっと泣き笑いしましたけど。
この白猫さん、あんずちゃん、星の海でお母さんと再会できたかなあ。2人で一緒に、大好きな家族を見守ってるかなあ。そしてお兄ちゃんと、宇宙で再会できるといいね。

テレビの物語。これは小説としてうまいですよね。解説にもありましたけど、テレビは普通「映すもの」。でもテレビの側から「映るもの」を視点に書かれた、擬人化なんですけど、本当にポジとネガが自然で。これだけで1本、短編小説ができるんじゃないでしょうか。

このお話に出てくる、探し物をしている子ども達や大人達が、本当に探しているのは実は手の届かないものや目に見えないものばかりです。戻れるなら戻りたい時間、優しいママ、自分の生きる意味、感謝の気持ちと愛情のしるし、壊れたモノへの愛着と自由な魂。
それを導く、不思議な店員さん。こんな綺麗なお兄さんだったら、化かされてもいいよと思うわたしw

人間ていつも無いものねだりで欲しいものがいっぱいあってそれを追いかける人生はなかなかユニークで大変なものですが、
欲しいものと必要の無いものを知ること、自分ひとりで生きてるんじゃないこと、美しいものは自分のまわりにいくらでもあることを知ること、
そういうことがすこしずつ大人になっていくことなんじゃないかとおもいました。
分別くさい、まるで仙人のような人生にしなくても、空を見上げて樹々を振り仰いで、少しずつ歩いていれば、いつか笑顔でこの世界から旅立てるような気がします。

大事ななにかをなくしたとき、自分に迷うとき、この『コンビニたそがれ堂』の世界にたゆたうことで、何かが見えてくる。
わたしもこれからそうやって、何かを探していこうとおもいます。


(ポプラ文庫ピュアフル)
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