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『災厄の紳士』D・M・ディヴァイン 著

2010/03/08(月) 02:49:17 D.M.ディヴァイン THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 …昨年の海外ミステリで一番の収穫だとされた作品なんですが、今まで読みこぼしておりました。てか、あまり読む気にならなかった、というか。
 だから私は倒叙モノはダメなんですって!つまり、コンゲームも苦手ってことです。
 案の定、最初は泣きそうになりましたけど、やっぱりディヴァインという人は巧いんですよね、それは認めます。
 そして読了後、私がどんな印象を持ったかというと……。



やっぱり好きじゃない~~!(涙)

リーダビリティは素晴らしいし、フーダニットとしても綺麗な本格ミステリ。
なにより、ミステリでありながら、小説としての美しさも持ってる。
ああそれなのに☆

パズラーとしても一級品だとは認めつつも、どーーーしても好きになれない。
巧すぎるからかなあ。

とにかくこの作品は、構成の勝利でしょうね。

前半はジゴロで腹黒のネヴィル視点。てことで、ここが倒叙スタイル。
途中で急展開があるという前情報があったのでなんとか頑張ることができましたが、知らなかったら無理でした。この前半部分で既に挫けてたと思います。

で、そのネヴィルが突然姿を消した、というあたりから、アルマの姉のサラと首席警部のボグ氏の視点が交互になっていて、少しずつ真相に近づいていくことになりますが、ここらへんの伏線はわりと分かりやすくて、ああこれは、と。それもそんなに数が多くもないので、メモも付箋も要りません。

そしてラスト、犯人が誰かが明らかにされるシーン、まあここが「意外な犯人」「どんでん返し」ということになるのでしょうが、うーん、私でも分かったよこれは。推理したわけじゃなくてただのカンですが(苦笑)

本当にこのディヴァインという人の作風はクリスティにそっくりで、私はあまり数を読んでないクリスティなんですけどディヴァインのを読んでいればいいような気がしてくるから私も横着モノです。
そしてだからこそ、ディヴァインのは、どれだけ優れているのかを納得はできても、好きになれない。

私はもっと、人間は駒であるような、謎だけに集中したミステリが好きなんです。
人間が書けていないとかいう批判は、パズラー好きにはなんの脅威でもない。謎が中心にあって、謎に振り回される展開が、ミステリを読んだ!という満足感に浸れるのです。

で、この『災厄の紳士』ですが、読み終えてみれば、ディヴァインお得意のパターンですよねこれ。『KS』(未読のかたのためにタイトル伏せます。文庫でたぶん絶版。初期の頃の作品ですね)と同じやん!というのが率直な感想。

なんとなく、今のM尾さんと同じような感じの本格ミステリ作家だと思います、ディヴァインって。
どの作品もハズレはないしまとまりがよくて巧いんだけども、どの作品もパターンは似てる。

この作品について言うと、私は前半のネヴィル視点の部分、なんでコンゲーム風にしたんだろうとラスト直前まで思った。後半のサラとボグ氏の視点に移ることを思えば、たとえばアルマの同居人の彼女がもう少し出ばってきて、ネヴィルにのめりこんで周りが一切見えなくなっていくアルマへの心配といかにも怪しいネヴィルへの警戒感を描写しても十分成立するだろうに、と。

ところが、このラストで、倒叙部分が引っくり返されることに気が付いて、ここで多くの読者がヤラレタ!と膝を打つのでしょう。容疑者の数が少ないということもあって、意外すぎる犯人ではないけれども、構成の妙に感服したという。

…なんてーか、犯人を最後まで隠しておく方法って、コレしかなかったのかなあ、と私なんかは思ったんですけどね(苦笑)

ロジックで犯人を追い詰めていくミステリが大好物の私は、昨年末の『本ミス』1位、という評価に、理解はできても納得はできないなあ。『検死審問ふたたび』の方が、本格モノとしては上じゃないかな、と思います。

好きになれないーという最初のアレで全体的にネガティブな感想ですが、実はこれでも私にしてみたら半分は褒めてます(笑)
褒められないなら感想書きませんし。

クリスティがお好きならオススメの作品ですし、別にそんなことは関係なくミステリに特に思い入れがない人でも楽しめるディヴァインの作品。
強烈なインパクトはありませんが、読んで損した本代返せ!とはならないと思うので、まあ興味のあるかたはどうぞ(…投げやりな薦めかたやなー☆)


(2009.9 創元推理文庫)
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