こんな本読みました。

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『星を継ぐもの』 ジェイムズ・P・ホーガン 著

2010/02/01(月) 17:04:58 ジェイムズ・P・ホーガン THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 30年前の名著を今頃読了。ていうか、有栖川先生の『乱読』で紹介されてて喜んで買ったはいいけども、何故か当時、私には合わないと決め付けてしまった本でした。思うにまだミステリ慣れしてなかったんだとおもう。
 昨年末ごろからなんとなく、積読バベルを見るたびに、ああそろそろ読みたいかも、と気に掛かるようになってきたのでこれがそのタイミングだとおもって、最初から読み直しました。
 いやー面白かった!なんて当時途中で止められたのか、そっちの方が謎。
 それくらいぐいぐい読みました。はーお腹いっぱいw
 確かにがちがちのSFなんですが、同時に綺麗なミステリでもありますよね、有栖川先生がオススメされたのも分かります。



主人公は原子物理学者のハント博士。彼の居る場所がシーンの中心です。
放浪の学者だった彼をとある仕事のためにアメリカに呼び寄せた、国連宇宙軍本部長のコールドウェルとその秘書。そこに集う世界最高の学者たち。中でも保守的な生物学者のダンチェッカー教授とはそこはかとなく対立関係となっていくハントさん。

でも、それまでの人類の歴史ではありえない、「月で発見された遺体が5万年前の人間のものだった!」というショッキングでセンセーショナルな謎を前に、世界中の英知が結集して研究を進めるためにあえて中立の立場を貫くハントさんに、直属の上司となるコールドウェルが最大限の権利と自由を保証する。

未知の文明、未知の生物になかなか分析が進まずにあらゆる仮説が飛び交うものの、やがて分かってきた「チャーリー」の世界。
少しずつひも解かれる謎に立てられたいくつもの仮説と、それを壊していくさらに不可解な謎の出現。
地球の進化、月の歴史、そして惑星間移動。星間戦争のような記述。

特に物語の主軸を支えるダンチェッカーさんの長広舌が延々繰り広げられるシーンは、申し訳ないですが斜め読み。まあ、地球上の生物の進化に少し興味があれば、だいたい知ってることでしたから。

少しずつ明らかになっていくチャーリーの残した情報に、最初はなんかよく分からなくて(たぶんこれで挫折したんだとおもわれます)、でも途中、どうしても地球上の生命の痕跡ではないものが発見されたあたりからは、俄然愉快になってきました♪

よくここまで練ったとおもう。感心した。
そしてまたそれが、30年経った今でも全く古びてないというのがものすごい。SFだから、未来の話だからというのもあるでしょうが、だったら30年前にこんな未来を想像したホーガン氏がものすごい!なんてイマジネーションなんでしょうか。

今現在の進化論には、ところどころ途切れている部分があって、特に原始人類からホモ・サピエンスにいたるまでの間にも、ミッシング・リンクがあります。
まだ解明されていないその謎に、フィクションという形で破綻なく説明できる仮説のひとつにまで、この作品は到達しているとおもう。
エピローグのシーンで発見されるとあるモノが、今でいうオーパーツの説明にまでなるという周到さ。そして幕切れ、最後の一文の美しさ。

謎が解明されるには、最適なタイミングがあって、現在私たちがオーパーツと呼ぶものは、はるか未来の科学技術でなら解読されるものなんでしょう。そんなエンディング。できるなら、その未来の、オーパーツではなくなる瞬間に立ち会いたいなあと心底おもいます。

タイトルの「星を継ぐもの」が、最後の最後で説明された謎の答えになっていて、それから読者である私たちが突然そしてごく自然に実感(または体感)できるようになっていて、とんでもなく圧倒的な質感を感じました。その手前の、ハントさんの推理推論でもじわじわとくるものがありましたが、一番おいしいとこ持ってったアノ人が(笑)解き明かした最大の、そして最もシンプルな謎の答えに呼応した「星を継ぐもの」というタイトルの意味が何を指していたのか。もうブラボーとしか。

これ、実際の研究者さんたちが読んだらどんな感想を持つだろうか。
一笑に付すのだろうとは容易に想像できるけど、なんというか、こういうのもアリでいいんじゃない?というロマンを持っていてほしいなあ。

そうそう、月の問題がクローズアップされてきた段階で、現在の私たちが知る最新の定説とは少し違うので、30年前に書かれたものやしなーという研究の進歩の差も当然ありますけど、もしかしたら、この作中の月と地球、太陽系は、パレラルワールドなんじゃ?とちらりとおもいました私。
今の常識だと、月の核になる部分は地球との衝突で~~ということですけど(知りたいかたはぜひ調べてみてください。ココで書いたら文字数いくらあっても足りない…)、この中に出てくる説はぜんぜん違うアプローチの仕方なので、数ある仮説のひとつだとおもえば楽しいです。

とにかく、SF好きはもちろん、ミステリ読みさんも読まなきゃ損!の傑作でした。

ひとつ難癖つけるとしたら、訳がちょっと硬い。荒涼とした惑星や衛星の描写は素晴らしいんですが、なんとなく、ぶちっぶちっとした感じがありますね。
もうちょっと柔らかい文章にすれば、もっと読みやすくてますます面白い作品になったとおもいます。(今のままでも十分すぎるほど面白いので、新たに新訳にする必要もないでしょうけれど)

あ、それと、ハントさんの相棒だった、ロブ・グレイ氏は、あのあとどうなったんでしょーか。この人とハントさんって、一瞬、「これは萌えか?萌えていいのかっ?」と妙な妄想を書き立てられそうになりましたよ(笑)

さーこれで続編が読める!
《巨人たちの星シリーズ三部作》の1作目だったこの『星を継ぐもの』、お次は、『ガニメデの優しい巨人』です!読むぞー!


(1980.5 創元SF文庫)
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