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『警官の証言』ルーパート・ペニー 著

2010/01/08(金) 02:30:55 ルーパート・ペニー THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 …うっかり消してしまって書き直し…(涙)頭悪すぎる……★何書いてたっけなー…。せっかく書き直すんだったら、せめて前回のだらだらと長いだけの感想文よりは、もうちょっとマシになったものが指先に乗ってくれると嬉しいのですが。
 で、伏せ字がどうのと悩むんじゃなくて、ネタばらしせずに書きなさいという神様か超絶ミステリブロガーさんからの思し召しか、はたまた私のボキャブラリーからの挑戦か、そう受け止めて頑張ってみます。




でもやっぱり、書くことの半分以上は同じなんですよね(苦笑)

長編ミステリの場合、シーンごとに章が区切ってあるとか時系列になった章立てが多いと思うんですが、このペニーさんはチャレンジャーですよね。
第一部は、まず事件発生までの関係者の描写と現場の説明を居合わせたワトソン役のトニーさんの視点で。ビール主任警部にあてた書簡という形。
そして第二部は、その探偵役として登場するスコットランド・ヤードのビール主任警部の一人称。現場に入る前に、トニーさんから受け取った手紙に全て目を通して、実際に顔を合わせるまでにはもう、だいたいの構図と人となりはすっかり把握しちゃってます。

何せ、この本の帯に、もう誰が被害者になるのかとバラされてますから、死亡フラグがどうとかいうハラハラ感もなく。ただいつ殺されるんだろう、どうやって殺されるんだろう、と読者の興味をそちらに誘導しています。

で、消す前の感想にも書いたことですが、フーダニットにしてはあからさますぎるんです。トニーさんの人物観察がパーフェクトに近いという潔癖さが、この場合はもったいなくも感じる。

まずガチガチの密室状況で、他殺なんて無理だろうし事故でもなさそうだから自殺でいいんじゃないのー?という雰囲気の伝播の仕方。いっぱい隠し事してそうなキャラクタが、その隠してた情報を小出しにして、ますます自殺の線しかなさそうにもっていくのですが……、もちろん不可能犯罪モノですから密室の謎とともにアリバイ崩しもありますけど、どう考えても怪しいのは数人だけで、この人たちが手を組んだら不可能犯罪でもなんでもなくなる。

謎が魅力的なだけに、真相がユルイのがどうにもアレなんですけど(苦笑)。
もうちょっと引き絞ってほしかった…贅沢を言えば。
でも、いかにして堅牢な密室殺人を為しえたかという謎の答え、その伏線の回収の仕方はさすがです!アレもコレも伏線だったか!という楽しさ♪
中でも一番違和感のあった、殺人事件の前に起こった執事さん襲撃事件の痕のアレ。(ああココが際どい…伏せ字にしたい…★)
犯人(首謀者)の狙いがソコにあったとは。この時点までは、探偵役のビールさんを確実に出し抜いてます。ていうか、ビール主任警部、という存在も折り込み済みでの周到な計画殺人なので、このトリックは素晴らしい!密室もののレパートリーがまたひとつ増えましたよ♪

そしてこれも消しちゃったものに書きましたが、やっぱり書かずにいられない。
探偵役の一人称というのは大胆ですよね。
名探偵の推理の過程を読者に読ませることはあまりないはずです。
たいていは、聞き込みや証拠集めを重ねて、ロジックが完成したときに初めて、真相はこうだったんだよ、と鮮やかに開陳してみせる。
まあ、それまでは、(一般的には愚鈍な)ワトソン役がとんちんかんな推理を披露して間をもたせるわけですが…。

本作の場合、ギリギリまではビールさんがどう考えて次にどんな行動をするのかということまで書かれています。ここまで書いていいのー?といささか心配になってくる。
でも。さすがフェアプレイに徹した本格パズラーです。そこまで手掛かりを読者に読ませているのに、事件の真相を語られると、おお!と膝を打つ、その快感がたまらんですwww

このビール主任警部のシリーズはまだ邦訳がこれで2作目なので未訳も含めた全8作がみんなそうなのかは分からないんですけど、とにかくこの著者ルーパート・ペニー氏の特徴である、頭脳明晰なビールさんと同じくらい聡明なトニーさんとの会話で、推理が脱線することもなく、スイスイと読者を「幕間=読者への挑戦」まで誘導していきます。事件そのものが二重三重構造ということもないので、アレとコレがこう繋がるのか!といったサプライズはなく、それを物足りなく思う人もいるでしょうし、シンプルでスマートなプロットが私みたいに好感度をアップさせる人もいるでしょう。そこは好みですね。

そして解決シーンでは、もったいぶらずにいきなり事件の真相に移ってくれるので、これまた拍子抜けするかありがとうと思うか。

でもこれって、相当なテクニックが必要だとおもうんです。レッドヘリングで読者ほ煙に巻く方が、はるかに書きやすいはずで、こんなにスマートな書き方だとあっという間に終わってしまう。最後まで読者の興味を引きつけていられるのは、事件の謎もキャラクタもそして筆運びも、全体のまとまりが良くて魅力的でないと無理でしょう。
そのことが、私がこのシリーズを好きな理由です。

コナン・ドイルやクリスティなどイギリスミステリのほとんどが人間観察に重点を置くなかで、このルーパート・ペニー氏のフェアなパズラーは異色で貴重です。パズラーな分(よく言われる、「キャラクタは単なる駒である」という特長)、どろどろした悪意や殺意は薄れますが、そんな動機の弱さを、見事な伏線の回収でカバーする。
パズラーの巨星、エラリー・クイーンほどの重厚さや緻密さには及ばなくても、十分パズラー好きを楽しませてくれます。

肝心のお宝の隠し場所ですが…これはミステリ好きならどこかで絶対にみたことあります!(笑)
むしろ、それを示す暗号の作り方の方が良いw
古文書の写本みたいな感じ。
と言っても、大方の日本人にはなかなか解読できないだろうとおもいますが。

たぶん、本作を手放しで絶賛するミステリ読みさんは少ないとおもいます。
でも読んで損はないはず。
次の邦訳が待たれますw


(1938年発表 2009.12 論創社)
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