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『ジャンピング・ジェニイ』アントニイ・バークリー著

2009/12/04(金) 00:28:28 アントニイ・バークリー THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 近くの図書館にあるのは知ってて借りよう借りようと思いつつなかなかその機会が巡ってこなくてもたもたしてるうちに、さっさと東京創元社が文庫にしてくれました!これならわざわざ借りに行かなくても買えるよv
 シェリンガムものを全部読破してはいないはずですが、それでも何冊か読んでいて、確かにバークリー中期の傑作と言われるだけあるなあと思いました。でもベースは変わらないんですね『毒入りチョコレート』と。
 本格ミステリ好きなら既読のかたも多いでしょうし、私と同じように文庫になったから読んだよ!というかたもおられると思います。そんなツワモノの皆様と同じ感想を共有できればいいのですけれど。



まず初めに、これだけは宣言しておきます。

実は私、バークリーは好きじゃないです。どっちかっていうと嫌いな部類(爆)

でも、私の志向とは違っても、本格ミステリとして面白いことは理解できます。だから読んでます。(ここらへんが、P.D.ジェイムズとは違うんだな…あの人のは生理的に合わない)

『毒入りチョコレート』もね、…読むのはなかなかたいへんだった記憶があるんですよね。好きな展開じゃないから。それでも記憶には強烈に残ってることからして、やっぱり好き嫌いの問題じゃなく読まず嫌いしてる場合じゃない作家なんだなあと実感しているわけでして。

だいたい、名探偵びいきの私に、このシェリンガムもののように、とことんまで虚仮にされてピエロにされて…そんな探偵小説は我慢できないんですよね本当は。

そしてこの『ジャンピング・ジェニイ』ですよ。
もうシェリンガムさんが滑稽を通り越して吐き気を催すほどに哀れになってくる。
作者もここまでせんでもええんちゃうの、って。

でも最後の一行まで来て分かりました。

ミステリにおいて、一番強いのは、作者なんですねやっぱり!
あーやられたッ!
シェリンガムさんに同情とか哀れとか感じた私までが道化にされてたんですか!くそうっ♪

このしてやられた感がたまりませんっ♪

そうかー、シェリンガム氏の推理が立てては壊され立てては壊され、そしてそのうちのひとつが読者の方が真実を知ってるからそうそれよ!と言いたくてうずうずする立場に置かれるので油断するんですよね。
その乱立する仮説によって、容疑者が絞られていくような一向に減らないような気がするのは、一種の心理操作なんですね。おかげで、最後の種明かしの場面で、全く気にも留めていなかった人物が出てきたとき、ん?これは誰だ?と一瞬思いましたもん。

被害者の人となりはサイテーだし、パーティの趣向は悪趣味そのものだし、なかなか感情移入はしづらいんですが、今回はシェリンガム氏が探偵としての立場を優先するのではなく、客人の一人として他のゲストと感情を共にし行動するさまが、ものすごく人間臭くて味がありますよね。
今まで自分がしてきたことを振り返って慄然とするその様子や、自分を過大評価しすぎるというか自信過剰も甚だしい性格が禍になったと他人に面と向かって忠告されまた自分もそう認識せざるをえないところ、そしてそれでも自分に挑戦してきた犯人を見つけ出してやるんだ!というちっとも懲りてないところ。
何作かシェリンガムものを読んできて、誰かコイツに鉄槌を下してやれ!と思ったことが1度や2度じゃないんですよ、だから、この忠告してくれた人物には拍手喝采よくぞ言ってくれた!と。
そうなんだよ、アンタは物事をわざわざ複雑にしてしまうんであって、ちょっとその自己顕示欲を抑えて動きすぎる口を閉じてじっとしてろ!とね(こういうことを、シェリンガム氏はズバリと言われるわけですよ、とある人物に)。

現場のある一つのモノがどうだったか、ということが事件の鍵となるんですが、それが最後にひっくり返されては。
そんなんあり?って。
でもこれが、アリなんですよね(苦笑)
一瞬、そんな伏線あったかな?って思ったけど、読み返してみると、矛盾してはいない。時系列にしたら重なってるんじゃなくて一本の線として繋がってるんですよね。ただ、書いてないだけで(アンフェアという意味ではなく、展開として書く必要のないシーンだったから)。

こういう作品が、何度読んでも楽しめるミステリ、という賛辞にぴったりなんでしょう。
再読するたびに、ここにも伏線が仕込まれてたよ!と気付かされる。
でもたぶん、どれだけ気をつけて読んでも私にゃ初読で犯人を推理することは出来なかっただろうなあと心から思うわけです。本当に良く出来てる。傑作、バークリー作品の入門書と言われるのも納得です。

解説にありましたが、確かにこの作品を読んだ後に、『毒入りチョコレート事件』や『第二の銃声』を再読したら、またがらりと印象が変わるでしょうね。
うーん、『第二の銃声』をもういちど図書館で借りてこようかな♪


(2001年国書刊行会にて発表 2009.10創元推理文庫)
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