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『死せる案山子の冒険 聴取者への挑戦Ⅱ』エラリー・クイーン 著

2009/12/04(金) 00:27:57 エラリー・クイーン THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 あああ~~(涙)とうとう読んじゃったようぅぅぅ面白かったようぅぅぅ!
 前作というか第一集の『ナポレオンの剃刀の冒険』とはちょっと色彩が違うのがまたいい♪
 有栖川先生が「鼻血吹きそうになった」(笑)とコメントなさったのも分かります!先生に先越されたから鼻血吹くのは止めたけど、涙が出たよう!
 …という興奮。
 ミステリ好きになってよかったw
 エラリー・クイーンが神に一票です。




第一集の『ナポレオンの剃刀の冒険』を初めて読む前、
「ラジオドラマのシナリオ集かあ…小説の方がいいと思うけどなあ」
などと不遜なことを考え、読み始めてすぐに深く頭を垂れてEQに謝った私。
そんな記憶があるので、この第二集の『死せる案山子の冒険』もまた、たいへん面白いことはこれまた読む前から分かりきってたことですよ。
だから読むのがもったいなくて、今まで枕元に置いて撫でさすりつつ大事に大事にとっておいたんです。
でも、年末ベストが近付いてきて、昨年『ナポレオンの剃刀』がランクインという意外な結果に驚いたので(小説じゃないし。シナリオ集がランクインするとは思わなかったから)、もう生唾ごっくん状態でページを捲ったわけですよ。

【<生き残りクラブ>の冒険】
【死を招くマーチの冒険】
【ダイヤを二倍にする男の冒険】
【黒衣の女の冒険】
【忘れられた男たちの冒険】
【死せる案山子の冒険】
【姿を消した少女の冒険】
以上、七編。

解説の飯城氏が書いておられるのが全てなので、今更これと言って書く事もないんでしょうが、やっぱりその通り、表題作の【死せる案山子の冒険】とラストの【姿を消した少女の冒険】が印象深いですね。

表題作の方は、たったひとつの手掛りを軸にロジックを組み立てる様が国名シリーズの要素を、風景や人物の描写やその悲劇性がライツヴィルものを思い起こさせてくれます。
そのたったひとつの手掛りというのは、かの『エジプト十字架の謎』のアレに匹敵するもので、そのロジックはまさにクイーン。美しいったらありゃしない。
でもその背景というか、真犯人の素性となると、雰囲気は『災厄の町』にそっくり。いいのか悪いのかは別にしてね。

【姿を消した少女の冒険】のほうは、実は犯人はすぐ分かるんです。この人しかいないもん。EQでこんなにすぐに犯人が分かったことってなかったので、ちょっと意外でした。
でも、その犯人の異常性、動機の問題になると、凄まじいというかライツヴィルものによく見られる、なんとも遣り切れない思いがしました。それとこれは、後期クイーン問題といわれるあの名探偵エラリー・クイーンの存在そのものの危うさが如実に出てます。小説としての楽しみを求めるならこのドラマは堪らないと思う。

…ただ、第1作目の『ナポレオンの剃刀』の方が、より記憶に残る作品が多いのも確か。
もっとも、シナリオ集1作目というそのインパクトのせいでもあるんでしょうけど。
でも決してこの『死せる案山子』がレベルダウンしてるわけではないんです。
むしろよくこれだけの水準のラジオドラマを次々と書けるものだと感心するばかり。
ファンはだんだんと贅沢になってきますから、前作以上を求めることの傲慢さを顧みないとって部分もあります。

クイーンによく取り上げられるダイイングメッセージもの、今回はちょっと微妙…?ていうか、1920~30年代のアメリカの社会生活、文化を知らないと、なんでこういう書き方をしたのか、エラリーが解答をくれるまで分からないんじゃないかなあ。あ、日本でも同じ職業のかたならピンとくるかな。
あと、同じくアメリカ社会特有のものが伏線になっている作品で、クリスティほどじゃないけれど、「意外な犯人」のようなお話もあります。これは気が付かなかったわー。ギャングに引っ掻き回されたのと、やっぱり思い込みのせいですね。「×××=犯人」とはなかなか…★

不可能犯罪ものも二作。
これは結構好きです。特に紙一枚入らないし蟻ん子一匹入り込めないし何重もの監視の目が光っている密室ものの方。

この中にあるシナリオ集の、被害者や犯人たちの、当たりはすぐにつくんですけどその方法とか動機がね…まだまだ修行が足りません★

そうそう、結局エラリーはニッキイにメロメロなんですね(笑)
やっぱり正体不明のエラリーの妻って、ニッキイだと思う。
(でも、彼女の初出作品のキャラ描写って、このラジオドラマ集とか犯罪カレンダーとはまるで別人ですよね(笑)…まあ、初出作品を読む人へのネタばらしにならないようにってことなのでしょうけれども)

EQらしく、手掛りは全てフェアでさりげなくて、でも真相はなかなかひねりが効いてて楽しいです。
突っ込み所がないわけじゃないけれども、もはや神ですから。もはや新作が読めるわけじゃないんですから。
ファンはただ心から愉しめばいいのです。

(2009.3 論創社)
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