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『身代わり』 西澤保彦 著

2009/12/04(金) 00:27:24 西澤保彦 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 タック・タカチシリーズの最新刊。
 前作『依存』からもう9年も経ってたのかー…。はあぁ。って、リアルタイムではなく文庫落ちしたのを読んだので、9年も待ってませんが。
 『解体諸因』から始まるこのシリーズは、西澤作品の中でも特に好きで既刊は全部読みました。再読してるタイトルも多い。が、『依存』だけはどーしても再読できない。1度読んだだけで忘れられない上、あまりのショックで精神的に私までナーバスになってしまったほどです。でもそれでも好き。
 そしてこの最新刊です。待ちに待った続編です。
 例によってネタばらしにつながる表現が出てきますので、未読のかたはここでストップしてくださいますよう。ちなみに、『依存』を読んでいないと意味不明なところが多いです。このシリーズを知らないかたは、最初から通して読まれることをお勧めします。




あああ、ボアン先輩だあぁぁ(涙)ウサコちゃんだあぁぁ(泣)
そしてそして。
タカチとタック~~~(号泣)おかえりなさーいぃぃぃ★★★

という感動の再会はともかく。

おまえら、また飲んだくれてんのか…(苦笑)
ていうか、お酒が入ると途端に頭の回転が早くなるタック、相変わらずで私は嬉しいよw

でも、やっぱり『依存』での事件、はね……タカチ曰く、「あちらへは絶対に行かせない、必ずこっちへ連れてかえってくるから、」って……そんなに危なかったのかタック……。ううう。
葬儀に参列したタックとタカチに声を掛けた佐伯さんのことを、一体なんだとおもったんでしょうかタカチ(笑)怖いよぅ★

ウサコちゃんもね、あのとき、かなり心に傷を負ったに違いないのに…心理学を勉強してるというからだけじゃなく、もしかしたらウサコちゃんが一番打たれ強いのかな。

まあ、先に『貴婦人』が出てるから、あの一連の事件のあと、この4人がどうなったかは知ってるわけで、今回の『身代わり』は、そのぽっかり空いた隙間を埋めるためのものでもあり。
でもいくら時系列で『依存』の後の話だという情報があってもさー、まさかその直後だとは…びっくりしたよ。
『スコッチ・ゲーム』でタカチが闘い、その後タックに最大の試練、というと言葉が綺麗過ぎる。
まさしく、「戦友」なんでしょうね。ぴったりだ。
だからこそ、この2人が恋人としての関係にステップアップしても、暑苦しいとか鬱陶しい感じが皆無なんやね。
風通しのいい関係、というのとも違う。
お互いの痛みを知るのはお互いだけ、という、安心感プラス、崩れそうなほどに脆い部分を見せられるのもまたそれを補えるのもお互いだけ。

たぶん、もしかしたら、ボアン先輩もウサコちゃんも、この2人には必要ないのかもしれない、それくらい、がっちりと噛み合った、完成された関係。
その強さが、佐伯さんをしてタカチにクラクラさせるのだとおもう。
美しいだけの女性よりも、完成された強さを好むひとのようだから。佐伯さんって。

七瀬さんもね、ノリのいいひとで。
平塚さんといい野本さんといい、安槻署って、イイ人多いよね(笑)
一般人の話をちゃんと聞いてくれるし、連絡もしてくれるし。

ポケットベル…懐かしいのう…はっ。いかんいかんボアン先輩の口調がうつった。

いやいやあまりの懐かしさにキャラ語りばかりになってしまいました★

事件の謎の方ですが。

さすが西澤先生。
隙のないクロスのさせ方でした。

事件の真相らしきものに近付いていくその様が、たとえば有栖川先生の作品のようにガシーンガシーンと鋼鉄が組み合わさって溶接されるような揺るぎなさというより、靄の向こうに見え隠れしているリボンを一本たぐって結び、また一本みつけてはたぐって結び、そして靄が晴れたとき、その結ばれたリボンが形になってたよーって印象(分かりにくいかなあ…)。

このシリーズの特徴(と言ってもいいのかなあ。言いすぎかも)である、ぐいぐいとジョッキを空けていくタックが「こういうことだと思いますよ」と半ば確信しつつも推理と想像によって組みあがったロジック。で終わる。
正解は、やっぱりタックの推理は合ってたのか、それとも少しは違う部分があったのか?それは明かされないままなんですが(分かりやすいところでは『麦酒』がそうでしたよね)。
読み手は、真の探偵役であるタックの推理は外れないだろうと思って読んでるから、素直にそう読めばいい。

でも、今回はボアン先輩の思考がまともでちょっと意外だったし、トレースしやすかったかな。
八割がたボアン先輩が中心になって動きます。

そのボアン先輩の推理の穴を埋めるのが、ラストのタック。それが突飛であることもなく、伏線は全部出てきた。
ただ、その推理が真実かどうかを確かめる術がないだけで。

ボアン先輩が首を突っ込むことになったソネヒロくんのヤバイ人格と言動が引き起こしたことと、接点のない女子高生と巡査が同じ家で殺された事件が、まさかこうくるとは。
種明かしされてみれば、ネタ自体は何度も読んだことのあるものですが、そのぼかし方といい事件の種になった被害者・加害者含めての嫌な人すぎる描写といい、西澤先生らしいなあと。
なんというか、人間としてあかんやろアンタら絶対に友達になりたくない、という被害者に加害者。
巻き込まれた巡査さんの気の毒なことったらもう…。

目撃者の男性にフォーカスされていくとき、ん、これはもしかしたら?と思ったことはあったんですが、いやいやすっかりやられましたー。奥さんとの確執とかアリバイとか、忘れたわけじゃないんですけど、実はこの目撃者が全く無自覚だったところが哀れですね。

で、結局仲間割れというか、口封じの相手を変えようとするなんてもう、救いがなくてため息。
こういう人間のダークサイドを、事件に上手く絡めてあるのも西澤作品。全く浮かないどころか、真犯人の行動に思わず納得してしまうくらい。
説得力がある、とはこういうことですよね。

ソネヒロくんのどうしようもない性格とか、女子高生のあかりの救いがたい自己陶酔とか。朔美の薄っぺらさとか。ジェンダーというか男女のどうにもならない心の機微の薀蓄とか。

『依存』が鏡に映り込んだような事件だなあという感じがしました。

その意味でも、タックはタカチに連れ出されて明瀬巡査の葬儀に出たことをきっかけに調子を取り戻して、またボアン先輩やウサコちゃんと一緒にお酒が飲めるまでに回復したのは成長したってことなんでしょう。よかったよかった♪

この後の話はさっきも書いたように『貴婦人』にでてるので、ひょっとしたらこれでこのシリーズも終わりなんだろか。いやん淋しい。何かスピンオフとか、書いてください西澤先生。(『論処』のような)


(2009.9 幻冬舎)
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