こんな本読みました。

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感想文いろいろ5

2009/11/03(火) 02:45:05 感想文いろいろ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
なかなか読書の時間が取れず、従ってまともに感想文も書けない毎日なので、またいろいろ盛り合わせでお茶を濁します。
『幽霊の2/3』、『水時計』、そして有栖川先生の新作中編『長い廊下がある家』のみっつ。



『幽霊の2/3』ヘレン・マクロイ 著 (創元推理文庫)
………東京創元社に寄せられた復刊リクエスト第1位だったという作品。これはもう、タイトルが秀逸ですね!ダブルどころかトリプルでひねってあります。「2/3」をどの方向から見るかでガラリと意味が変わる。2/3なのか1/3の方なのか。読んでる最中は、やっぱり女流作家さんのミステリ特有の、生々しいくせにワンパターンな女性キャラたち(言いすぎ)に、ファンタジーな男性キャラにうんざり。でも、誰1人感情移入できずにムカムカしながら読んだのが、かえって良かったかも。探偵役の精神科医の先生が一番薄っぺらかったというと、これも言いすぎかなあ。
事件の謎のほうは、…途中で薄々そうじゃないのかなーと思ったうちのひとつだったし、被害者の秘密も八割がた分かってた。ただ、英米の出版エージェントの内実に詳しい読み手さんならもっと楽しめたと思います。そんなことには全くの素人で知識もない私には、そのあたりのアイロニーは「ふーん、そんなもんかー」としか思いようがない。で、そんなことになった被害者を取り巻く真相もまあたぶんそんなとこだろうと思ったし、それほど驚きはしなかったので順当なものなんでしょうね。良く言えば、形式美。
いや本当に、読み終えてみるとタイトルが絶妙なのが一番感心した!こんな意味深なタイトルはそうそうないんじゃないのかな。


『水時計』ジム・ケリー 著 (創元推理文庫)
………著者がかのドロシー・L・セイヤーズの『ナイン・テイラーズ』にインスパイアされたというデビュー作。なんですが、その『ナイン・テイラーズ』よりもページ数が少ないのに高額なのは何故でしょう?1,000円以上するんですもん。
デビュー作にしてはすごい完成度だと私もおもうけど、正直言うとそこまで誉めそやすほど好きにはなれないかも。イギリスミステリらしく薄暗くじめじめした風景の描写がほとんど半分を占めてるような気もするし、犯人当てのミステリというよりは心理ミステリ、サスペンス要素の強いミステリだと感じました。トリッキーな部分は皆無なのにねえ、純粋なフーダニットかと聞かれるとそうとも言えない(笑)
事件の真相はね、かなり分かりやすいです。真犯人は途中でほぼ分かったよ私でも。
むしろ巻末の杉江松恋氏の解説までひっくるめてこの作品はやっと完成したような気さえします。
伏線は確かにバランスよく配置してあるし、その回収もOKなんですが、とにかくくどいくらいに陰鬱な風景の描写とやはり陰鬱な主人公ドライデンの心理描写にいささか辟易。心理面はともかく、沼沢地のじめっと感と凍てつく寒さの書き込みは、もう少しシンプルにしてくれたほうが、私は読みやすいだろうと思った。『ナイン・テイラーズ』は読んでて楽しかったのに、これはなんでなかなか進まないのかと思ったら、この作品も誰1人好きになれない奴ばっかりで(笑)、その上もういいよ分かったから!ってほどくどい、薄暗い描写。セイヤーズが、ピーター・ウィムジイ卿やバンターさんのキャラクタをいかに大切にしていたかを再認識する結果になったよ(笑)。ああセイヤーズ作品を全部再読したくなってきたー!
本国では続編も出ているそうですが、さてドライデン氏の水恐怖症、閉所恐怖症、暗所恐怖症、スプラッタ恐怖症その他ビビリでヘタレな性格は、少しは改善されているでしょうか(苦笑)


『長い廊下がある家』 有栖川有栖 著(『ジャーロ秋号』掲載)
………あああ、やっぱりいいわー作家シリーズwww
最近の有栖川作品の傾向ですが、まず事件背景の描写があって、容疑者たちの紹介があって、摩訶不思議な事件が起こる。そして火村先生とその助手が臨場しまっせーvという流れ。
事件の関係者の中に火村先生の教え子(というほど親しくはないらしいけど)がいたせいで、京都府警の柳井警部に対面するよりも先に学生くんに話を聞きに行く先生。本業はやっぱり准教授ですから。
それにしても最近なんでこう私に馴染みの場所が次々作中に登場するんだろか(有栖川作品に限らずって意味ですが)。今回の現場は京都府綾部市。の山の中。幼い頃から通い慣れた婆ちゃん家に向かう途中の地域なのですぐ分かる。どのルートを通るだとか、学生くんの卒論テーマである限界集落についても関西ローカルのテレビ番組では、この綾部のある地区がよく取り上げられるし、ぶっちゃけ綾部の中心部以外はどこも似たような感じやと思うけど、あああの辺やろなあって。そして一体どこの山を越えたんだこの学生くんは(笑)よう遭難せぇへんかったなあ。
まあ今回の場合、限界集落というのは学生の卒論テーマだから、というだけで、その寂れた雰囲気を、取材クルーの題材に自然に絡めようということでしょうか。それと、外部の容疑者はいないっていう布石でもある。
有栖川先生の作品というとやっぱりロジック、というのが真っ先に浮かぶので、こういうトリックを前面に押し出す作品は久々ですね。…というより、新作自体が久々なんですが(爆)
で、まあトリックそのものは目新しいものではないんでしょうけど、それを実証するために取った火村先生の手法に大笑い。証明の為には、14年の付き合いのある唯一の友人(火村先生自身は「犯罪だけが友達」なんだそうですが。アリスさんの立場は一体…)でさえ、手玉に取る、もとい騙すなんてっ。
とにかく火村先生とアリスさん登場のシーンからずっと、2人の掛け合い漫才が楽しいったらもう♪人として大事なことをすっかり忘れて真顔でボケた先生がツボw
アリバイか、密室か。ふたついっぺんにくるとは、贅沢な謎ですなあ。
そして上2作のように、途中でだいたい真相の見当がつくようなこともなくて、最後まで分からなかったさ。
一番印象的だったのは、アリスさんのセリフ、「密室もアリバイ作りという目的があって初めて必然性を持つ、か。」…あのー、ミステリ作家なんですから、そこは職業病として刷り込みしといてくださいよ(苦笑)
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