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『さよならの次にくる《卒業式編》《新学期編》』 似鳥鶏 著

2009/10/24(土) 15:27:48 似鳥 鶏 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 似鳥さんのデビュー作である『理由あって冬に出る』の続編。これも文庫書き下ろし。
 『理由あって~』を酷評したブロガーさんも見ましたが、うーん、私は結構好きですよ、このシリーズ。ラノベ風味ではありますが、探偵役がきっちり探偵してるからかな。
 読了してからかなり時間が経っているので、なんかもう書かなくてもいいかなとか思ったりもしたんですが、まあメモがわりに。



《卒業式編》が出てから、後編にあたる《新学期編》が出るまで2ヵ月も開いてるんですよね。後編を読む頃には細かいところどころが思い出せなくなってました…すいませんが東京創元社さん、前後編とかに分ける場合に、こんな時間をおかないでくださいな。二度手間になってしまいますから。

んー、でもなんか、デビュー作と比べると、落ち着いた印象…。
葉山君が主人公で視点人物なのは一緒なんですが、前回の書きたいように書いたって感じの勢いというか、言いかえればもう少し整理しましょう的な雰囲気が、随分こなれてきたみたいな。いやプロの作家ならそれで当然なんですけど、あの勢いがなんとも好きだったので、ちょっと残念。

今回は、前後編通して伊神さんがかなり不可解です。
特に前編の《卒業式編》は、確実に逃げてます。コソコソと。
あと、【断章】も、前編だけだとさっぱり意味が分からない。
全て繋がるのは、後編《新学期編》の後半、第七話あたりから。
そんな感じで、ミステリとして伏線の仕込み方が、めっちゃ上手いなと思った。
前半部分のバラバラだった話が、希ちゃん(と言っていいのか…)を軸にしてカチッカチッと嵌まっていく。
そして、前編後編とおして、キーパーソンになるキャラクタは、とことんまで使い切る!みたいな印象です。合ってる?
いやまさか、後半で彼女があんな形で絡んでくるとは…葉山君はそりゃショックだし、その葉山君の心情を察して、ただ何も言わなかった伊神さんも基本はイイ人なんですよね。かなり変人ですが(笑)

ということで、テーマは、“ストーカー”かな?(笑)
ストーカーに悩まされる彼女も彼も、結局は葉山君を利用したってことでいいの?

そんな感じでずっとおかしな行動をする伊神さんが、それでも泣き付いて来た葉山君の話を聞いただけで安楽椅子探偵よろしくするりと解決してしまうのは相変わらず。
……まあ、終盤の真相を読んでると、さもありなん、て感じですけど。伊神さんが頭脳明晰で変人なのは、最近のことじゃないんですもん。そういう星のもとに生まれてきた人なんですよね…。

もうひとつの軸は、葉山君の女性関係(?!)←いえ別にいかがわしい話じゃなくて。
かつての初恋の人とか、現在のめっちゃ可愛い後輩(?)とか。
小動物のような葉山君が、自分の身を挺して守ろう、信じようとする彼女達。彼自身は非力なんですが、ついでに肝心なところで伊神さんに全部持っていかれる損な役回りなんですが、たぶん、一番伊神さんに心酔してるのは葉山君で、だから彼の不可解な行動や希ちゃんのことにも気が付いたんですよね。…一歩間違えれば葉山君自身が伊神さんのストーカーみたいな?(笑)で、伊神さんも希ちゃんも、そんな葉山君が大好きなんですよねゼッタイ♪

そして後編の終盤で明かされた伊神さんのこと。
複雑なんですけど、悪人がいないってのが救いになってて、“立ち女”さんのことも含めてちょっとほろりと涙が出そうだった…。伊神両親はほんまにイイ人たちだ!
で、その真相部分にも、ちゃんとミステリしてて凝ったつくりになってるなあと思いました。

他、演劇部の面々(特にミノくん)やら愛心学園の彼女達やら、もう誰も彼もが葉山君を食べてしまいそうなくらい肉食獣ばっかりで(大笑)、その最たる人が柳瀬部長なんですけど。草食男子の葉山君を、いつ食べようかとずっと回りをウロウロしてるよ彼女★

このシリーズを読んでる本読みさんたちの間では、柳瀬女史は大人気です。
でも、私はめっちゃ苦手…★ほんまに私は天の邪鬼というか……。
とにかく、こんな人がいたら、精神的に休まらないです多分。
だいたい、美術部員としての葉山君を、いくら一緒に居たいというその一心からだとしても、なにかっちゃ演劇部に借り出すという時点で、私的にアウトなんですもん。いじらしい女心じゃなくて、ケジメをつけんかい!と。
特に、希ちゃんの出現で焦ったんでしょうけど、葉山君が一目惚れするほどモデルにしたいと思ったのは希ちゃんで、そこに噛んでくる女史の姿は、私は嫌い。
同性の目線ってのは、特にこんな天の邪鬼だと、妙にねじくれてますね…。

うーん、このエンディングだと、まだ続きがあるのかこれで終わりなのか、ちょっとわかりませんね…。伊神さんのことはかなりクリアになったけど、葉山君のまわりはまだ騒がしいし…。翠ちゃん頑張れ!(←ああやっぱり…。でもこれは、私にしたら当然なんです。名探偵贔屓の私はもちろん伊神さん大好きで、だとしたら伊神さんと翠ちゃんの関係からして、彼女の方が断然応援したくなります)

推理も今ひとつで、おまけにいいように利用されっぱなしでちょっとかわいそうな葉山君でしたが、最後に花を持たせてあげてて、いいエンディングでしたねww
ミステリ界の草食男子代表ですから!キミも頑張れ!

(2009.6/2009.8 創元推理文庫)
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