こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『brother sun 早坂家のこと』 小路幸也 著
小路幸也 > 『brother sun 早坂家のこと』 小路幸也 著

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『brother sun 早坂家のこと』 小路幸也 著

2009/10/24(土) 15:26:34 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 あの名作『HEARTBEAT』(東京創元社)で初めて小路さんの作品に出会って以来、それまでの既刊はともかく新刊は全てリアルタイムで読んでいた私が、なんと発売から一週間近く待たされたあり得ない事態。そこへなおれbk-1と黒猫大和。土下座して謝れ。菓子折り持って謝りに来い。お菓子はエンリョなく食ってやる。三田の《小山ロール》なら許す(……)じゃなくて、小路さんに謝れ全く。ぶつぶつぶつ。



ということで。
おあずけ状態のままヨダレ垂らしてしょんぼりしてるわんこが、ようやく「よしっ」って言ってもらえたようなそんな勢いで読みましたですよ。

……これ、なんのシンクロでしょうか。

私自身のことじゃないんですが、つい最近、私のまわりに、なんていうか似たような話がぽっこりと出てきたんですけど。いやここまで重くないたぶん。過去があるから現在に至ってる、と心底そう思う。

なので、いつもの小路さんの作品をどきどきわくわくしながら読むのとは少し違う気持ちのまま、あっという間に読了。それにしても、なんで私は、せっかくの小路さんの新刊を「ゆっくり」読むことができないんだろうか。

『本とも』連載時は、一話目だけは読んだけど次からは我慢して、単行本にまとまるのを待ってました。
そーかー、こういう家族かー…。

えーとね、書き下ろし部分のその後のエピソードで、それぞれの家族を築いた三姉妹の様子がでてましたけど。
……基本的に、この作品の「早坂家のこと」っていうのは、あんず、かりん、なつめの三姉妹と、父と実母と伯父のみのことなんじゃないのかな。父の再婚相手の真里菜さんと陽ちゃん、後に増えた家族、は、後まわし的な感じ。
そこが『東京バンドワゴン』シリーズの堀田家がどんどんと間口を広げているというイメージとは正反対の、どこか排他的にさえ感じるほどの結びつきの強さを早坂家の三姉妹とその父と実母と伯父、という相関図に感じました。後妻も婚約者も彼氏も入れないんだきっと完全には。

それはもしかするとラストで、ある女性と、まさかのある人物とのできごとを知ったせいかもしれない。それによって長姉はどうするか。彼女の性格からして、どんな思いで家族を守るか。父を思い遣るか。それをまざまざと考えさせられて、ちょっとやりきれなくなったせいかも。
そうやろなー、私もそんな立場になったら、自分の家族よりも義母よりも父のことを思うんやろなー。
……って、私の場合はまた複雑で、両親とのあれやこれやで思い出したくもないいろんなことで今でもキレて涙が止まらなくなるし、おそらくこれは、両親がこの先鬼籍に入ってもそれでも私が死ぬまで抱え続けることになると思うけど。

私は妹との二人姉妹で、こんなに華やかでバラエティーに富んだ性格付けをするまでもなくただ姉と妹やけど、まあ大概、上の子は考えすぎで悩みが多くて、下の子はしっかりしてて現実的。うちもそう。妹の方が老後の心配はないはず。まだシングルやのにねえ。

でも、兄弟姉妹の結束が固くなるのは、誰かが親がわりのポジションになって信頼関係が強くなるからなんであって。
早坂家の三姉妹は、ものすごく早いうちに精神的に自立してるから、その親がわりになって守ってくれた姉を、自分達のために犠牲になったなんて思わないし感謝と信頼でもって理解しあえるんですね。こんなに自分達姉妹のことを深く見てるものかと思ったもん。

それにしても。
いつも思うことですが、小路さんの作品に出てくる男性はみんな、なんてイイ男なんでしょうかwwwこんなのどっかに落ちてない?っていう人ばっかりですよもう(笑)
映像化されたとしたら、多分俳優さんは演りやすいと思う。主人公の女性が惚れるようなカッコイイ男を思うまま表現すればいいんやから。
ということで、今回の私のイチオシキャラは、敦史くんでしたっ♪
次点で、なんと大島教授(?!)←マジです。普通、芸術肌の人が天才に出会ったとき、憎まずにいられるだろうかと。妬むよふつうは、その才能を。でも、この教授は、今でも伯父さんのことを尊敬してるなんてさ。なんて綺麗な心のひとなんでしょうか。

もしかしたら、【陽のこと】という書き下ろしのエピソードは、明るい未来100%にならないようにと計算されたものなんでしょうか。この部分が無かったら、ただ、ああ良かったねえで終わったところを、いやそうじゃないんだよー最後に少しほろ苦く締めておくからねー、みたいな感じ。ちょっと今までの小路さんの作品には無かった印象です。ああ、『カレンダーボーイ』がちょっと近いか。

単行本を伏せて置いて、山の形にして、表と裏のカバーイラストを同時に見てみると、なんかすごくいい距離感だなあと思います。家族だと言っても、こうしてほどほどの立ち位置を築けるって、なかなかないでしょうし。陽くんにとって、両親とは別に(3人の姉ではなく)育ての親がいる感じ。もし再婚した最初から両親が姉達と一緒に暮らしていたら、自分達はどんな姉と弟になったか、おそらく成長していろんな事情を知っていく陽くんは、これから何度も考えるような気がします。

それともうひとつ。
それぞれの章が【あんずのこと】とか【かりんのこと】【なつめのこと】という視点人物の割り振り方なんですが、でも中では彼女たちの一人称になってて。
作者を神として神の視点、というほど大袈裟でも俯瞰してもいないんですが、なんていうか章タイトルとのこの距離感もいいなあ。

……今度から、小路さんの新刊をbk-1で買うことだけはしない。絶対しない。決めた。もうちょっとで、「もうこんなに待たされて、今更読みたくないよーだっ」てな具合の、とんでもない子ども返りをするとこでした……とほほ。


(2009.8 徳間書店)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。