こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『密室から黒猫を取り出す方法』 北山猛邦 著
北山猛邦 > 『密室から黒猫を取り出す方法』 北山猛邦 著

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『密室から黒猫を取り出す方法』 北山猛邦 著

2009/10/24(土) 15:25:29 北山猛邦 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 “世界一気弱な名探偵”こと音野順クンが、ただ1人の友達でありワトソン役である推理小説家の白瀬白夜氏に引っ張り出されて、嫌々ながらも事件をバッサリと解決に導くという『踊るジョーカー』の続編です。
 相変わらず小動物よろしくびくびくしまくりの音野クン(いや今後は訳あって順クンと言った方がいいのでしょうが、今作ではまだいいかな)、それでも探偵としての天賦の才はちっとも衰えず。とにかくキョーレツに可愛いw
 多分キャラ読みするかたも中にはいらっしゃるでしょうけど、でもこのトリック炸裂の五編はね。そんなの吹っ飛ばすんじゃないの?(笑)
 


連作短編集です。
【密室から黒猫を取り出す方法】
【人喰いテレビ】
【音楽は凶器じゃない】
【停電から夜明けまで】
【クローズド・キャンドル】……これのみ書き下ろし。
4篇はいずれも『ミステリーズ!』に掲載されたものです。
私は、うち【停電から夜明けまで】のみ既読でした。

《WEB本の雑誌》のインタビューに答えて<こちら>、どれも物語の最初に事件現場を描写してミステリとしてのアピールとしたそうですが、おかげで私はしばらく「倒叙アレルギー」もどきのトリハダを我慢しながら読むはめに。
まあ中には犯人が誰かまでは明かされていないものもあったので、それは厳密な倒叙モノじゃなく犯人当てとして大丈夫でしたけど。

脇を固めるレギュラーキャラ、と言っても音野兄、そして岩飛警部と部下の笛有刑事くらいのものですが、兄はともかく警部さんはやっぱりイイわーwこの人が出てくると、何故かホッとする私がいます(笑)
この人ゼッタイ小動物好きよね♪小リスをいたぶる様なんてもうww←ん?

えーと、肝心のミステリとしてですが。
前作の『踊るジョーカー』同様、現実にはありえないだろうトリックの数々。
特に私が気になったのは、【音楽は凶器じゃない】の「凶器」なんです…けどまあ、先のインタビューにもあったとおり、現実感から少しズラした世界なのでバカミスもどきのトリックだろうと疑問に思われないという設定。ツッコミは野暮ってことです。

この5篇の犯人は、1人狡賢いのもいますが基本的に抜けてます。完全犯罪を目論んだ割りに詰めが甘かったり、自分のエゴだけで犯行を計画して実は誰の救いにもなっていなかったりと、とにかく、犯行の計画段階までは完璧なのに実行すると何かしらの邪魔が入る。
そして、事件から何年も経った話でも現場を見ただけで、大方の謎は解いてしまう名探偵・音野順。なんでドミノが精神安定なんだろうか(苦笑)いやそれは関係ない、基本的に断れない彼はその嫌な事から一刻も早く解放されたいがためだけに、事件を解いてるんでしょうねえ(笑)

一番かっちりしたミステリだと思ったのは、【停電から夜明けまで】ですかね。
どっちかと言うと音野兄の方が活躍したと言える展開なんですが、まあ弟バカ(ブラコン)も伏線だったということで。トリックがどうより少しロジカルに傾いてるのかな。
トリックとして大掛かりなのは最後の【クローズド・キャンドル】だと思います。
そうそう、この短編のみ、別の妙な探偵が出てくるんですが……もしかしてこの人、以後またどこかでひょっこり現れるんでしょうか。琴宮(きんぐう)という名前も妙ですけど、事件を嗅ぎ付ける嗅覚といい、そのふっかけ方といい、何一つ理解はできないキャラですが、探偵には違いない。そして潔いです。家政婦さんをメロメロにしてしまうやり方なんて、小説家の白瀬氏にはいいネタじゃないですか(笑)

さっきも書きましたが、おーいー…と思ったのが【音楽は~】と表題作の【密室から黒猫~】と【人喰いテレビ】。表題作のトリック、黒猫の瞬間移動にロープはともかく、そしてその原理と応用はいいとして、できるのこんなこと?
【音楽は~】のは、これは凶器として成立するの?
そもそもこんな仕込みがあっていいの?と思った【テレビ】……いや突っ込んじゃいけないんでしたが…でもさ(苦笑)
けれど、楽しいミステリです。するする読めました。

北山さんの作品には、このシリーズとは正反対な印象の『少年検閲官』のようなシリアスなトリックもありますけど、こういう真逆に振り子の振れたミステリも。
綾辻先生の『館シリーズ』などトリッキーなミステリを読み込まれたという北山さんなりの世界のミステリは、新本格の中の新世代作家としてこれからも大いに期待してます。


(2009.8  東京創元社)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。