こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『青チョークの男』 フレッド・ヴァルガス 著
フレッド・ヴァルガス > 『青チョークの男』 フレッド・ヴァルガス 著

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『青チョークの男』 フレッド・ヴァルガス 著

2009/10/17(土) 16:49:00 フレッド・ヴァルガス THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 ブラボー!面白かったですwww
 海外ミステリ専門のブログさんでこのタイトルを知って、買おうかどうしようか迷って、まずは図書館で借りてみて、気に入ったら買おうと。ハイ、即購入決定♪ 慣れ親しんでいるイギリスともアメリカとも違う、フレンチミステリ。イギリスほど重く暗くなくて、アメリカほど大量生産でもハードボイルドでもない、イイ感じです。
 さすが創元推理文庫だけのことはある、と思わず納得の、レベルの高いミステリです。でもそれほどメジャーではないと思うので、既読のかたにだけお話するのも無理がある。てことで、なるべくぼかして書くようにするつもりですが。この面白さが伝わるといいな。



ところで。
フレンチミステリって、一般にどんなイメージでしょうか。
やっぱり、オシャレで粋で、イタリア人ほどじゃないけど愛情交換に忙しく好きだ嫌いだ結婚しようあんたなんか別れてやるー!みたいな、ミステリであろうと根底には人生を謳歌することに意味を見出すような、私にはそんな偏見があるのですが(苦笑)

まずこの著者のフレッド・ヴァルガスって。男性名だと思ったら、女性なんだそうな。それもフレンス・ミステリ界の女王とまで。いかに私が無知かっちゅーことですな★
でも、同じ女王でも、かのクリスティーとは全然違う、なんていうかポアロのある意味冷酷な一面を描いた彼の女王のような冷めた感じじゃなくて、どんな端役でもそれぞれに人生があるということをその温かみで表現している気がします。それも、女性特有のねっとりした温さじゃなく、からりとした男性性の。ジェンダー論がどうとかまで言い出すつもりはありませんが、そうではなくて、パリの街並みの、それも夜の暗さを、女性の眼と男性の眼と、両方から等分に描いたような。…分からないですよね、すいません説明が下手で。

とにかく、登場人物がどれも皆たいへん魅力的で、同時に胡散臭い。
それと、ものすごくバランスがいい。
主人公格の署長・ジャン=バチスト・アダムスベルグのとらえどころの無さとともに天才的な直感型というキャラには、その横に慎重で理論派で人間観察にも優れているけれども飲んだくれなばっかりに一日の半分を損しているようなダングラールを。
もう一方の、若くはないけれど魅力的でやはりインテリジェンスなマチルドという女性のそばに、捻くれ者で卑屈だけれど美青年で相手の本質を瞬間的に見抜く力を持つ盲人のシャルルと、反対に薄気味悪い老女を。
このキャラクタたちの造形が素晴らしくて、もうぐいぐいと惹き込まれます。

その上、謎がとびきり魅力的なもんだから、もうページを繰る手が止まらない止まらない。
この謎がね、いいです。
初っ端から死体をころがしておくのもおおっと思いますが、まずなんだか訳の分からない事象が積み重なって、それが事件に発展していく様が、じわりと真綿で締められるような…いつの間にかめっちゃ悲惨な現場になってたよーって感じの、周到な計画性の見え隠れする、つかみどころの無さがいい。

もちろん、名前の付いたキャラクタの中に真犯人がいるわけですが、被害者との接点とか容疑者と思われる人物のアリバイとかいうものが漠然としすぎているという、ミッシングリンク。
それが繋がったあたりから一気に進むのかーと思うのがありがちですが、何せ推理の中心は、自分の直感でしか動かないアダムスベルグ。ダングラールほどじゃないですが、ミステリなのにロジックじゃなくていいのかそんな第六感で、と思いました思うよ普通は。
でも、読み終えて思い出すと、確かにちゃんと書いてありましてね、その伏線が。
うん。あったよあった。うわー、これすごいなと思った。犯人の正体を、ほぼバラしてるようなもんだもん。その為のキーワードにあたるエピソードの数々も、最初にちゃんと出て来たもん。

署長の第六感を読者は確かに信じてるけど、ダングラールのこつこつと証拠を集める仕事ぶりをこそミステリとしては良しとするという先入観があって、じゃあ署長自身の直感じゃない推理はいつ出てくるんだろうと待ちわびてしまう、その隙を突かれたみたいです。

アダムスベルグは彼なりにちゃんとポイントを押さえていて、部下を動かすコツも納得させるだけの天才的な閃きと実績も十分に兼ね備えてる。
でも、そんな彼の内にも、隠しきれない虚無があって、それさえも周りに影響を及ぼすほどの人物。
犯人を取り押さえたあとで明かされる、署長の直感と捜査ポイントは、ちゃんと伏線として書き込まれていて、彼のそうしたぼんやり加減や輪郭の曖昧さが探偵としては一級品なんだなあと、しみじみ納得してしまう。《森の精》は、最上級の褒め言葉で、警察小説のようで実は探偵小説だったんだなあと、感心したのでした。

これはぜひ、シリーズ2作目を読まないとっwww


(2006.3 創元推理文庫)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。