こんな本読みました。

読んで感じて書き出して、そして忘れていく。備忘録ブログ。

スポンサー広告 > 『あなたが名探偵』 泡坂妻夫ほか
アンソロジー > 『あなたが名探偵』 泡坂妻夫ほか

スポンサーサイト

--/--/--(--) --:--:-- スポンサー広告 EDIT
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
Comment (-)

『あなたが名探偵』 泡坂妻夫ほか

2009/08/15(土) 21:52:56 アンソロジー THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 帯の背中の、“珠玉の犯人当てアンソロジー”に偽りなし!
 本当に、律儀に問題のパートの後に、「【読者への挑戦】材料はすべて出揃いました。この事件の犯人を見破れますか?」という一ページが挟まれていて、よっしゃいっちょ推理したろーやないか!と擽られますよー。
 ……そのわりに、ちっとも当たらないのはどーゆーことだ……とほほ★★
 既読だったのも何作かあるので、もう犯人が誰かも全部知ってる作品もありましたが、それを抜きにしても、愉悦の読書タイムでしたwww



収録作品。敬称略。

『蚊取湖殺人事件』 泡坂妻夫
『お弁当ぐるぐる』 西澤保彦
『大きな森の小さな密室』 小林泰三
『ヘリオスの神像』 麻耶雄嵩
『ゼウスの息子たち』 法月綸太郎
『読者よ欺かれておくれ』 芦辺 拓 
『左手でバーベキュー』 霞 流一

以上の7編。
全て、03~04年にかけて、東京創元社の『ミステリーズ!』に収録されていたので、そちらでご存知のかたも。
でもこうして、【読者への挑戦】が挟まれた形で1冊に纏まると、それはそれで趣向を凝らしたアンソロとして光りますね。

で、私の場合、『大きな森の小さな密室』と『ゼウスの息子たち』の2作品が既読。他は初読でした。各方向からツッコミの矢が飛んで来そうで、いろいろすいません…。

改めて、全部読みました。

うーん、やっぱりいくらなんでもページ数が少なすぎるなあと思う作品もある一方、法月先生や麻耶先生のようないわゆる《新本格第一世代》と言われる先生方の作品は、飛び抜けて完成度が高いですね。
特に法月先生の『ゼウスの息子たち』は、何度読んでも素晴らしい!
この設定なら入れ替わりトリックだけでも十分だと思うところを、更にもう一段上を行く真相は。国内短編ミステリのオールタイムベストにしても良いと思いますよ。

もうひとつの麻耶先生の作品。『ヘリオスの神像』、こちらは犯人の条件の消し込みが綺麗でうっとり♪ついつい探偵・木更津氏のキャラ追いをしそうになりますが、いやでもこの消去法は。犯人の名前が割りと分かりやすい作品だとは思いますが、この場合はロジックを楽しむ方がいいと思う。

キャラでいえばやっぱり西澤先生。
らしいっちゃらしいキャラ造形で、この噛み合わなさが下手すると事件そのものより面白いかもです。

探偵がいつ読んでもハードボイルドっぽい紅門氏の霞作品も、軽快ですね。
ただ、“腕時計”というキーワードは、どうしても有栖川先生の『スイス時計』と比べてしまうんですけど。そして『スイス時計』の直球ド真ん中犯人当ての王道中の王道(先生ご本人のあとがきといい文庫版での太田先生の解説といい、このフレーズは切り離せない)が03年5月に発表されてるもんで、比べてしまうのもいたしかたないし、また霞先生ご自身もそういう意識があったのかなあと邪推したりした(いや本当のキーワードは“左手”なんですけど)。

ただひとつ、もったいないなあと思ったのは、だれあろう泡坂先生の作品でして…。
いくらなんでもページ数が足りなさ過ぎです。
なので、どうしてももったいないなあと思ってしまう。少なくとも中編くらいで読みたかったなあ。手掛りの隠し方とかはめっちゃフェアですし犯人当てとしてはいいんですが、なんせキャラクタがむにゃむにゃ…★感情移入できない以前に、登場人物全員の造形に無理があるような…。
なまじ、亜愛一郎という、素晴らしいキャラクタを生み出した泡坂先生だけに…。

芦辺先生のは…いいのかなあこれ(苦笑)。アンフェアってわけじゃないけど、なんとなくずるいーwでも楽しいー♪みたいな(なんのこっちゃ)
レダ嬢がもったいない。もっと怪しい立ち位置にしてもいいなあと思ったんですけど。

最後になりましたが、小林先生の『大きな森の~』、これ初読時に感じたことをすっかり忘れてて今回読んでいるうちにそれを思い出して、やっぱりちょっと戸惑ったんです。犯人の動線がイマイチ分かりづらくて…再読して、その時にアリバイ関係をしっかり頭に入れておかないとその伏線探しに右往左往。こちらもページ数の影響なんでしょうか、関係者それぞれの動機付けとアリバイと、それを書き込むのに最低限にまで文字数を削った結果こうなった、って感じです。なので犯人当ての趣向が、膝を打つとかおっとびっくり!というよりも、そんな手掛りあったか…?と思ってしまいました。はい、私がアホなだけですねすいません…。

というフーダニット好きにはたまらない1冊。
そしてやっぱり、新本格第一世代の、練熟度というか密度の濃さを改めて感じたアンソロでした。
うーん…有栖川先生の『ガラスの檻の殺人』(『壁抜け男の謎』所収)か、古い作品でなら『八角形の罠』(『ロシア紅茶の謎』所収。…まあこれは、もともと《読者への挑戦》が挟まれている犯人当てですけど)、ああでもページ数の関係で無理でしょうが……まあそこらへんが一緒に編まれていたらなあとか、ちらりと思いましたですよ。


(2005年刊行 2009.4 創元推理文庫)
スポンサーサイト
Comment (-)

ページの最初に戻る

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。