こんな本読みました。

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『矢上教授の午後』 森谷明子 著

2009/08/08(土) 14:29:38 森谷明子 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 多分、寡作な方じゃないかと思う森谷さんですが、今年は頑張ってはりますねw
 このかたの作品はとりあえず全部読む!と決めている私なので、もちろんすぐに買いました。
 この帯の惹句が、それから三橋さんの推薦文が……どうなんだろうと思うところはありますが、まあでもミステリには違いないのでいいかな。
 ということで、既読のかた、これから先も読む予定のないかたのみお進みください。



ちゃんと(?)人が死んでるにもかかわらず、警察の介入もないし連続殺人事件でもない、うーんやっぱりこれはコージーになるのかな。
けど、“ロハス”っていうのとはなんとなく違和感がありますねえ私。

まず最初の【八月二十日】の部分、これまさか『深山に棲む声』とリンクしてるってことはないよねえ…?奥深い山の中の描写って、森谷さんはこの前作で散々描き尽くされたと思ってたので。違ったけど。

主人公というかタイトルにもなってる矢上“教授”が快刀乱麻の探偵役かと思ったんですが、主要キャラクタをざくざく登場させていくうちに、おや?影の探偵は咲ちゃんか?とか、進藤さんの動き方が大きいので彼女が?とか。
そしてとうとう死体を発見!その後の矢上教授との掛け合いを読んでると、あれもしかしたら馳部教授が本当の主人公?とか。いやちゃんと矢上教授が探偵役を担ってましたけど。

あの傑作、『千年の黙』の迫力に比べてしまうのが申し訳ないんですが、キャラクタの役割がもうちょっと固定していた方が読みやすいかな、とは生意気ながら感じました。

“オンボロ棟”の描写がもうひとつだったのもちょっと辛かったかな。
「羊羹を切ったような」というのが全体像の全てで、1階から5階までキャラが縦横無尽に走り回ってるのにイメージしづらいんですよね…。非常階段はもちろんエスカレーターと屋上も含めた見取り図が欲しかったなあ。

で、ミステリとしてですが。
コージーといえばコージーですが、やっぱりロハスってのは…(苦笑)

あっと、ここからネタばれです!
終わってみればレッドヘリングの山!すごいなこりゃ☆(ココまで)

死体発見までに、キャラがあっちこっち動きまくってる、と書きましたが、そのどれが本当の伏線でどれがトラップなのか。
いやその前に、いわゆる「クローズドサークル」の作り方に感心。だから探偵役が矢上教授というアナログなおじいちゃんだったのか!(失礼)と。
今の時代をそのまま舞台にするならどうしても欠かせないのが携帯。もしくはパソコン。それらは世界中に開かれている象徴のようなもので、その存在がある限りクローズドサークルは難しい。
その問題を、嵐のようなものすごい雷、それもいつ回復するかも分からない、あたり一帯を覆うような停電と、ひょいと書かれていただけの看板によって、オンボロ棟に閉じ込められた!という状況を作り出した発想は、(ついでに言えば事件の真相も)、まあご都合主義ともとれるけどミステリなんてどれもご都合主義のカタマリのようなもんだからいいんじゃないかと。
アナログな矢上教授と、ハイテクを駆使する彼女との対比、がひとつのミソでしょうか。

さらにネタばらし!
松浦教授の嘘臭い関西弁がどうにも気持ち悪くてなんでやろう?とずっと思ってたんですが、謎解きの部分で矢上教授の推理ですとんと納得!まさか「きっと」が平仮名じゃなかったとは。そしてあの騒ぎようも、はーなるほど。(ココまで)
一方、なまじ皆が皆、何か落ち着きがないというか後ろ暗い部分の見え隠れするキャラばかりだというのに、逆に際立ってもよさそうな一輝クンの個性がいまひとつぱっとしないのがもったいないなあ。
外部の人間の、アンタ何しに此処に来たの?という不透明さと、その真相がちょっと弱い気が。むしろ彼は、それぞれが隠していた、または抱えていた秘密を引っ張り出すための装置だったと思ったほうがいいみたい。

宙ぶらりんになった疑問は確かに全て回収されていますが、…うーん、これだけのレッドヘリングの中では、いくつか霞んでしまってるんですよね…。
結果、全体的に大味な感じのミステリになってしまったような。
コージーだけあってするする読めるんですが、逆に言えばするすると忘れてしまいそう。ていうか、ぶっちゃけ凶器の存在忘れてたもん私。

ロジックを駆使したミステリには違いないんですが、雰囲気としては福田栄一さんのトラブルシューティングなストーリーに近い気がする。
悪くはないと思うんですけどねえ。

なので、是非この主要キャラ、矢上教授と咲ちゃんと馳部教授と葛原さんあたりで、続編を出してほしいです。
もうキャラ説明は要らないし、事件の描写に重点が置けるから、もうちょっと濃いものになるんじゃないかなと思います。

そして冒頭の【八月二十日】とエピローグ的な【八月二十四日 未明】でサンドイッチにする、その意味が、前作の『深山に棲む声』を彷彿とさせるようで、最近の森谷さんの関心は、そのあたりにあるんじゃないかと思ってしまいました。グーグルアースの使い方といい、ね。

最後に。
志度、という名前にびくっと反応したのは有栖川信者なら分かっていただけるはず。ああびっくりした!(笑)
何がツボって、その名前がww←とことんヒムラーな私。


(2009.7 祥伝社)
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