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『やわら侍・竜巻誠十郎 五月雨の凶刃』 翔田 寛 著

2009/05/09(土) 12:36:17 翔田 寛 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 乱歩賞を受賞したというのに、いっこうに書店に並ばない翔田さんの作品の数々。傑作ぞろいだってのにもう…きーーっ!
 で、実はこれ、シリーズだったんですね。知らなくてシリーズ2作目のを買おうとしたら実は1作目があるんだよーとアマゾンで見て慌てて買った次第。
 いつも読むミステリではなく、時代小説としてのジャンルですが、ミステリ読みでも十分に楽しめるのが翔田さんの作品。これも大変愉快です。
 本当にオススメなので、翔田さんの作品を1度読んでみてください。



それにしても、これほど短時間でぐぐーっと読んで、かつ面白かったー!とご紹介できるものを知って、私は幸せです。

『消えた山高帽子 チャールズ・ワーグマンの事件簿』(東京創元社ミステリ・フロンティア、創元推理文庫)を書いた人と同一人物とは思えないくらい、男性の世界の凄惨さや苛烈さが詰まっていて、『参議怪死ス』とどこか似た雰囲気がありました。

江戸時代のお江戸八百屋町のお話なので、例えば近藤史恵先生の『猿若町捕物帳』と同じ舞台設定なんですが、近藤先生の世界では女性と男性がほぼ対等な関係で書かれているのに対し、こちらは圧倒的に男性上位の世界。

それと、『猿若町』の方は玉島千蔭様という同心が探偵役の謎解きミステリなんです。でもこの『やわら侍・竜巻誠十郎』さんは密命を帯びた隠密。江戸時代という設定を外してみれば明らかにハードボイルドとして読めます。
その点でも、時代小説なんて読まないというかたにもオススメできる作品だと思います。
いや本当にばりばりのハードボイルド!

シリーズ1作目ということで、主人公である竜巻誠十郎さんの性格やら環境やらの描写が、まるで時代劇ドラマのように展開します。分かりやすいです。頭の中でそのシーンを思い浮かべることができるほど。
複雑な家庭環境、亡き母上の言葉、義父や義兄との関係、誠十郎さんの困ってる人を見過ごせない性格、彼の良き理解者や友達…。
こういうのを知らずに2作目から読んでも差し支えないでしょうが、やっぱりこのところを知っているのと知らないのとでは、面白さは格段に違うと思います。

とにかくその、困ってる人を見かけると放っておけない誠十郎さん、後々自分が困った立場になるのも厭わずに見ず知らずの人々を助けます。
そういう人柄が、見る人には信頼されて仕事の口をもらえたりする一方で、逆恨みも買うわけで、なかなか大変なお人です。
それでも、こういう人がいてくれるから、人間捨てたモンじゃない、と思わせてくれるんでしょうね、助けられた人たちは。

今、こんな人がいたらどうだろうと、考えてしまいました。
絶対に帰り道で待ち伏せされて襲われたり、お節介な人だと助けたはずの人から逆にキレられたりするんじゃないかなあ。淋しい世の中になったもんです。

そんな性格ゆえのトラブルメイカーっぷりが原因なわけではないはずですが、何故か以前からマークされていた誠十郎さん。
父がまず目を付けられたということですが、どっちだろう。実父か義父か。
そして顔見知りから闇討ちされた一件。
これもシリーズ持ち越しの謎になってます。

とにかく、誠十郎さんはある人物から密命を与えられることになるんですけど、どうなんでしょうね、果たしてこの上司になるおかたは敵なのか味方なのか。
密命の性質という意味じゃなくて、誠十郎さんという存在にとっての。
誠十郎さんには、今、梶田さんとその奥さんや長屋のおかみさん達、また口入れ屋さんや棟梁や顔なじみの同心など、誠十郎さんの人柄だけで築き上げた人脈があります。誠十郎さんの唯一の宝物だと言ってもいい。

ところが、彼に与えられた密命というのは、彼に大事なものを持たせない、持ってはいけない、彼自身の命すら差し出せと言えるほどに冷厳な世界です。
これは誠十郎さんにとって良いのか悪いのか。
人間としてのあたたかさを取るか捨てるか、という厳しいものです。
多分、このあたりがシリーズを追うごとに過酷になっていくのだと思いますが、できるなら誠十郎さんには今のままでいてほしい。
困っている人がいたら、ためらいなく助けてあげられる人であってほしい。

それにしても、キャラクタが多岐にわたっていて、ドラマを活字で見てるような活き活きとした筆致で、夢中になりました。

謎の死の事件については、そこに主眼を置いていないためか謎解きというにはあっけないと思うし、鍵の一件についてもミステリーとしては弱いかもしれませんが、ハードボイルドなのでそれでいいんです♪

キーワードは「母親」ですかね。
そして、親を思う子の心情。
うーん、マジで誰かドラマ化してくれませんか。

このシリーズはどうやら文庫書き下ろしとして続くようです。
そうだ!《京都水無月大賞》で取り上げてくれませんか?あれ、文庫限定やし。
『奥絵師・狩野探信なぞ解き絵筆 眠り猫』の方でもいいんですが。

それにして、梶田さんがいい人すぎて、大好きになりましたwww


(2008.11 小学館文庫書き下ろし)
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