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『脇役スタンド・バイ・ミー』 沢村 凛 著

2009/04/25(土) 14:54:57 沢村凜 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 全く初読、というか、実はお名前すら初めて知ったかたです。
 新潮社からのメルマガでこの本のあらすじを見て、へぇ、と興味を持ったので思いきって買ったんですが、何せどんな作風なのかとか、そもそもプロフィールも知らなかったのですよ。
 そしたらちょうど、最新号の『メフィスト』に沢村さんの短編があったのでこれも何かの流れの中かなあと。
 うーん、なんと言っていいか…ともかく感想を書くとなると絶対にネタばれします。なので未読のかたは、絶対にこの先にはお進みにならないでくださいね!



さっきも書きましたが、まず『メフィスト』の短編の方を読んでみました。
うーん、なんていうのかな、私の好きな“本格ミステリ”というものではないんですが、確かに広い意味での“ミステリー小説”には違いない。「ミステリ」という狭くて固いジャンルには入れられないですね。

だからってつまらないかと言うとそうでもなくて、むしろ面白かった。
ぐいぐい読めて続きが気になる。だから最後まで止められない。リーダビリティがあるっていうことですね。
それと、文章も読みやすくて、でも人間のじっとりした陰湿さとかエキセントリックとかいう感じはない代わりに、乾いた中にも誰しもが内包する人間の生温かい悪意の襞のようなものが時折剥き出しになる、読み心地のいい小説です。

連作短編なので、一話ごとに主人公は変わりますが、キーになる人物が必ず顔を出します。
そのキーになる人が最後のクライマックスなわけですが、……うーん、これが一番残念、かな。
もうちょっと、あと二捻りほどしてほしかったかも★

そこまでの雑誌掲載の短編はね、謎かけがあるとかミッシングリンクとかそういうものではないんですが、ミステリーとして読むなら上手いと思う。
特に第三話の【聴覚の逆襲】なんて、●●●のところで膝を打ちました。
そのほかにも、というより第六話までの事件の作品に関しては、ある程度までは「ああ多分、主人公のこの言動がこうなるんじゃ」と想像できてしかも実際それが当たってるんですよね、でもそこで油断させてるんだと思う、その先にもうちょっとだけ私の想像の斜め上もしくは脇を通り抜けるように、主人公を事件の核心に迫らせてる。
主人公を取り巻く人間関係が複雑ではなく配置されていて、その中に容疑者なり重要人物が含まれてるので、犯人当てとして読むことも可能ですよね。(ただし、第四話の【裏土間】は別ですが)

でもおそらく読みどころはそうじゃなくて、主人公の抱える悩みとか仕事のこととか、そういう誰しもが共感できるそういう部分に、読者がどれくらい添えるかってことだと思います。
あーあるあるそういうこと、とか、実際いるよねーこういう人、とか、ああそんなことしたらご近所付き合いが上手くいかなくなるのに…とか。
そして、主人公の逡巡や最終的に主人公が取る手段、そういう心の動きが。

キーになる人物のことは第二話目になると分かりますが、最終話にきて、なんでこうなるかな、と。
これはえーとなんだ、楽屋落ち?違うか、夢オチ、とも言わないねえ、●●オチなんて言葉あったかな?
真相が、本当に●●なのかそれとももうひとつの方なのか、それは曖昧なまま終わりましたが、タイトルである“脇役スタンド・バイ・ミー”っていうのはこのキーになる人物を軸に視点を変えて見ると、それまでの主人公達が脇役というかゲスト出演ということになる。視点の裏返しだからこのタイトルになったんだろうと思いますが、別にこの手法はこの作品が初めてってわけじゃないから…。結局はキーになるこの人の存在不在ではなくて、うーんと…触媒?かな、この人の名前を救いにしてハッピーエンド、ってことだと思う。良いか悪いかは別にして、それがこの沢村さんという作家さんの特徴なのかもと、『メフィスト』の短編を読んだときと同じ印象を持ちました。

略歴を見ると、ファンタジーノベル大賞に応募して作家デビュー、後にその大賞の優秀賞を受賞されているとか。もともとはそういうジャンルの書き手さんなんでしょうね。
そしてそういう作家さんだからこそ、事件の概要や描写が陰惨にならずに「はっきりさせなくてもいいこともある」という終わり方なんだろうなあ。
私なんかは、もうちょっとだけ救いが無くてもいいような気もするけど、こういう清清しい読後感を好むミステリー好きなかたもいるだろうし、そこは好き好きですね。
うん、面白かったと言える作品でした。
ファンタジーはどうか分かりませんが、沢村さんがこういうミステリーも書いてくださるんだったら、買って読んでみようと思います。


(2009.4 新潮社)
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