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『無貌伝~双児の子ら~』 望月守宮 著

2009/04/18(土) 14:24:23 ミステリ・その他 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 ………辛かったこれ……(涙)。
 なので、実はさっきまでこれの感想文は書くまいと思ってたんですが、ちょっと予想外な印象を持ったので、メモ代わりに書いておこう、と考え直しました。
 未読のかたがちょっとでもネタに触れると、もうだいたいの予想がついてしまうと思うので、読み終えたかただけこの先にお進みくださいね!



……えーと。

厳密に言うと、これ本格ミステリじゃないと思います。どっちかというとファンタジー小説。話は連続殺人だけど。

本格ミステリだという前評判と期待があるから辛かったんですよ。

確かに連続殺人事件が起きて、探偵が事件の核心に迫って行って、関係者の前で犯人を名指しする、という定型を取ってはいるけれど、無貌というモノなどの“ヒトデナシ”の設定とか、徴兵制と戦争とかいうパラレルワールドとしての日本、そして主人公である古村望の、生い立ちからくる芯の捻くれた強さとか。

有名な名探偵・秋津承一郎の探偵しない宣言やら探偵という存在を否定する、「アンチ探偵小説」というやりとりは良かったんですけどねえ。
だからって、なんで望がこんなに切れ者なのか、という疑問とは繋がらないんですよね。
関係者に関わりすぎて感情移入しすぎた結果、秋津ではどうにもならないと見切ったのはいいとして、一番多くの情報を集めていたとはいえ望がここまで出来るものなのか。過去の生い立ちが夢の中に出てきて、割りきりというか現状把握能力がずば抜けているというくだりがありましたが、それと探偵役とは別物じゃないかと思うんですよね。
余談ですが、秋津さんと望の関係が『銀英伝』のヤン提督とユリアンによく似てるなあと思ったのも、白状しておきます。

それと、人物の書き分けがいまいちできてないせいで、そこに無貌というキャラが滲むように出てくるもんだから、よく分からない部分もあった。
そしてあの、最後のオチですよ。
えーっとなんだこれは?と思ってしまった。結局、無貌とは何なんだ?という、説明不足が最後にきて響いてしまった気がしました。
これがもしも、道尾さんとか連城先生なら、綺麗に反転させられると思う。まあ、デビュー作でそこまで期待するのは無茶か。

だからプロローグの冒頭部分とエピローグが上手く繋がっていないような感じがしたのは私だけですか?
芹と霞の従姉妹同士の書き分けも(そっくりだとしてもね)、そもそも一郎と次郎、創一と創次の区別もつきにくかった…。双児(一卵性・二卵性、または家系として遺伝的に)がキーワードではあっても、そこに無貌(特に顔を奪い人格までも奪う)キャラがウロウロしてるもんだから、ますます読み手が混乱してしまう。
多分これは、この作品だけのことで、続編が出ればそこは解消されるとは思いますが。

事件の真相、伏線の回収の仕方は、確かに古いタイプの探偵小説っぽい。
だからこそ、日本の昭和時代のパラレルワールドなんでしょうね。
その辺はいいなと思う。
ただ、本格ミステリとしてどうかと聞かれると、困る。
特別に凝ったトリックでもないし、アリバイ崩しでもなく、見立て殺人でもない。その点では中途半端な印象ですが。
望月守宮さん、という人だけの、独特の世界のミステリのような気がします。そのオリジナリティという意味で、私的にかなり好感度高し(笑)
予想外の印象、というのは、そういうことです。
主要キャラ以外にも、スピンオフではないけれど一作品できそうなのがいっぱい出てきたので、無貌、という軸を使って、また違う話も読みたいと思わせる、そういう書き手さんだなあ、また1人、面白いひとが出てきたなあ、と。
なんだかんだ言って続編が出たら買うと思う。多分。

最後に。
『メフィスト』最新号の合評にこの『無貌伝』が取り上げられているんですが。

私、なんで彼女の作品が全くダメなのか、やっと分かった!

何よこの人の発言。これは果たしてプロの作家の言うことか?
ぶっちゃけ同人作家みたいですよ。
この作品は、彼女によっぽど合ってたみたいでキャラの書き分けとか縛りという点は別にしても、かなりべた褒めなんですが、その褒め方がどうにも同人くさい。
ミステリとしてファンタジーとしてというよりも、キャラでツボに嵌まったらしくて褒めてる。これこれこういう想像(妄想とも言う)が出来ますよね、とか。
それは素人の同人がすることよ!
実際、ミステリ好きがこの作品を読んで、最初はなかなか入り込めなかったという人は、ネット上でも多く見かけました。するする進むのは半分過ぎてからでしたよ私(こんな分厚いノベルスで!)。

もう1人、西尾維新さんがこの作品を大絶賛なさってるんですが、だから私は西尾さんの作品もダメなんだきっと…。デビュー作だけでそこまで言えないよ。

私にとって、この望月さんの本当の評価は多分、もっともっと書き続けるか、別の世界のそれこそ「ガチガチの本格ミステリ」を書いてみるかしたときに、ようやく判断できると思う。それまで保留にしておきます。


(2009.1  講談社ノベルス)
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