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『夕陽はかえる』 霞 流一 著

2008/09/03(水) 10:43:09 霞 流一 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
うん、確かに本格ミステリだと思います。ただ余りに特殊で奇妙奇天烈な世界が繰り広げられているので、軸足が本格なのかギャグなのかが分からなくなってくるのです。また構成上、事件の謎解き部分と、殺し屋である<影ジェント>の<血算>シーンがリズムを刻むように交差しているので、別に一気に読まなくても支障はない。なかなか読み進められなかったのは、この独特のリズム構成なのだろうな、と思いました。
とはいえ、全部を読み終えてしまうと「面白かった!」と素直に言える作品ではないでしょうか。


探偵役の<影ジェント>…しっかし、これをエイジェントと読ませるヒントはどこからきたのか?他にも<影ジェント>に仕事を依頼する<影ジェンシー>といい、一つの仕事を複数の<影ジェント>が競り落とす<入殺>といい<落殺>といい、ふざけてるとしか思えない(笑)……の表向きの仕事は医師。他にも植木職人や移動パン屋や古着屋、振付師に元力士のちゃんこ屋店主、などとバラエティにとんだ殺し屋たち。
で、<ジョーカーの笑うオペ>というニックネームの医師、瀬見塚眠が心ならずも探偵役なんてことになったのは、彼の師匠の代から何かと因縁のある<青い雷光のアオガエル>こと戸崎亜雄がビルのあり得ない位置で死体となって発見され、その嫌疑がかかったから。その事件を追ううちに殺し屋達の<入殺>があちこちで繰り広げられる訳ですが、これがもうシュール、と言っていいのか…。パン屋の彼女は麵棒で、ハスラーの彼はキューで、そして医師のミン先生はメスで。勿論確実に殺す為にそれぞれの武器はカスタマイズされてるんですが、なんにしろ命が掛かっている割りに悲壮感は薄い。馬鹿馬鹿しさと禍々しさの境界上での殺戮シーンは、B級映画のようです。
また、途中でもう一つ密室殺人がおこるのですが、その現場に居合わせた容疑者が全員殺し屋なもので、「この殺人をしたのは自分だ」と皆が口を揃える。
普通のミステリとは逆なんです。とにかく真っ当な人物が誰一人登場しないので、誰が犯人でもそれで当然。…おかしいでしょ?
でも、解決部分はスマートな本格ミステリです。それまでのシュールな場面場面に(分かりやすいくらいに)張った伏線を一つ一つ回収していって、ロジックで犯人を特定する。叙述トリックもあるし、真犯人のエグさも滑稽さも。
また、この二つの不可能犯罪の根幹にあるものが、この<影ジェント>や<影ジェンシー>の設定を逆手にとったものである、という真相は、捻くれてて良かったです。ミステリなんだから、こうでないとね。

(2007.12.13)
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