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『ペンギンは知っていた』スチュアート・パーマー 著

2009/04/06(月) 09:47:11 海外ミステリ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 “エラリー・クイーンのライヴァルたち①”ということで、EQのライヴァルシリーズのこれが最初なんですね。私は順番ごちゃ混ぜで読んでましたが。
 はっきり言って、あまり期待してなかったんですが、まあそこそこ面白かったですよこれ。
 アメリカの探偵小説らしい展開で(同じ時期のヨーロッパのミステリとはちょっと違う雰囲気)、するするさくさく読めました。
 なるべくぼかして感想を書いたつもりですが…ご紹介になっているかどうか(汗)






えーと。先にひとつだけ。

途中で犯人あっさり分かっちゃったよ!(笑)
半ば勘ですがそれでも、こんなに分かりやすいミステリも珍しい!(断言していいのかな)


生徒を引率して水族館に見学に来ていた教師のミス・ヒルデガード・ウィザーズ。
彼女の機転でスリを捕まえたと思ったら、彼女が大切にしている帽子のハットピンが無い!生徒を炊きつけて運よくハットピンを見つけたその時、ペンギンの水槽に、ゆらゆらと男の死体が降ってきた…。

このなんとも魅力的な事件、そして容疑者となるキャラクタたちの人物描写の上手さ、主役はミス・ウィザーズなんですが彼女とともに事件の捜査にあたるパイパー警部の柔軟さ(ワトソン役にしては、という意味ですが)。

動機がありすぎる2人と、調べていくうちに殺人に手を染めても仕方ないかもしれない動機を持っていた人と、被害者との関係から殺人者ではないかもしれないけど一枚噛んでるかもという人と。
また手がかりを持っていると見られる証人になりうる人物の見た目と動かし方も抜群だし、なにより当初、殺人なのか自然死(心臓麻痺)なのか分からない状態から殺人だと断定されるまで、そしてその凶器の隠し方と使い方も、凝っているのに無理がない。
最初は憧れの探偵ごっこだったミス・ウィザーズが、だんだんと事件に深入りしていく様子とそれが好奇心だけではなくて必然になった展開も、上手いです。

EQのライヴァルたち、という視点からすると、ロジックというよりは展開の妙だと思うんですが、手がかり・伏線は絶妙だし(ちょっと分かりやすすぎる気もするけれど)その回収もぴたっと収まってます。
特にラストで、失神しそうになりながらもミス・ウィザーズが糾弾した最後の伏線の拾い方は、いかにもミステリらしくて安心しました(ちょっと表現がおかしいかな)。

犯人を特定していく段階では、誰も彼もが怪しいよーというわけじゃなくて、やっぱりこの人は犯人なのかそれとも本当は違うのか、という進み方なんですが、あちこちに散らばる証拠を発見していく様子とか、気丈そうなのに案外ビビリなミス・ウィザーズの可愛らしい一面とか、彼女とパイパー警部のやりとりとか、全体的にバランスがいいんだと思います。読んでいて退屈したり飽きてきたりすることなく、楽しく読めました。
ミス・ウィザーズの活躍ぶりがそのキャラクタによるところが大きいので、最初はいけ好かないおばちゃんかと思ったんですが、いやいやめっちゃチャーミングw
ただ、彼女自身がとある人物に語る、自分が何故こんな探偵の真似をしているのかというくだり、ここはちょっと現代の感覚からすると古くさいんですけれども(だから探偵仕事をするという説明になっていない気がするんですよ…)、だからこそ今の人間が読むと、古き良き時代ってことになるんでしょうね。


犯人の動機が、これが書かれた時代を反映しているのはむしろしょうがないことで、よくこの時代の心理を動機に結び付けられたなあと感心しました。発表されたのは現実には2年ほど後になりますけれど。
確かに実際こういう事件があってもおかしくないかもしれない。
まあ、そこにペンギンが居ることは稀でしょうけど(笑)

これ、タイトルだけだと、「ひょっとして、さんざん脱線した挙句に、実はペンギンがイタズラした結果、殺人事件のようになってしまったという話じゃなかろうな?」と恐々読み始めたんですが、なんのなんの、実はペンギンはめっちゃ美味しい役回りでしたよ(笑)
これ、今の日本で言うと、越冬地の白鳥とか鶴とか?ええ違いますね。はい。

事件とは関係ないですが(ん?一部関係してるのか)、キャラクタが結構ロマンチスト揃いで、実はそれが隠れ蓑だったという犯人が明かされるシーンと、本当のラスト、ミス・ウィザーズ自身のロマンチックな展開というどんでん返しとの対比が、どこまでもカラリとしたアメリカの探偵小説らしいなあと。
これがヨーロッパとか江戸川乱歩の時代の日本だと、もっとじめじめした質感になると思います。

うーん、これは楽しかった!
私みたいなボンクラでもあっさり犯人が分かっちゃった♪というだけじゃなくて、なんだか映像を見てるようなテンポの良さが光りました。実際映画化されたらしいのですよ、ちょっと検索してみるかな。

これはミス・ヒルデガード・ウィザーズのシリーズ1作目だそうで、それならもっとたくさんシリーズを読みたいものですが、果たして翻訳されているのか?
この作品で早くも彼女と警部の関係が進んじゃったわけですが、次の作品ではどんな展開になったのかも興味のあるところ。(本書のラストで、だから作者が最初、彼女をシリーズ探偵にするつもりがなかったというのが分かりますね。大団円やもん)

ライトで明るいミステリを読みたいかたにオススメの作品でした。

(1931年発表 1999.6  新樹社)
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