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『検死審問ふたたび』パーシヴァル・ワイルド 著

2009/04/02(木) 23:53:27 パーシヴァル・ワイルド THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 
 たいがい、シリーズ1作目がよくできていると、その続編はよほど練られたものでないと、もうファンは満足してくれません(苦笑)
 その点で、この『ふたたび』は素晴らしいです!前作にも全くひけをとらず、それどころか奥行きが出てきた感じがしました。この作品の最大の特徴が、その効果をぐっと上げています。
 もうガッチガチのミステリなので、未読のかたはくれぐれもこの先にはお進みになりませんよう、お願いします。



いやーー、堪能したーー♪♪
面白かったですよーwww
前作の、『検死審問 インクエスト』の時とは、事件の内容は違いますが、主要なキャラクタはそのまま続編としての時系列で登場してます。
検死官のリー・スローカム閣下、その娘で速記者のフィリス、そして前作ではただ1人審議のやり方に異を唱え続けていたイングリス氏が、なんと今回はフルネームを与えられ(エヴァーランド・ジョン・イングリス)検死陪審長に任命されまして!
前回の事件の審議で検死官のスローカム閣下をとことん軽蔑していたイングリス氏は、この陪審長という栄誉にすっかり有頂天になり、どうにかしてスローカム氏をこてんぱんにやり込めたいとメラメラ燃えてます(笑)

ということで、この作品の一番の妙は、このイングリス氏の内面の呟きにありました。
前回はただひたすら証人を呼んで話したいだけ話させていたスローカム氏でしたから、議事進行の描写はその証言がほぼページを埋め尽くしていたんですが、今回のは、イングリス氏から見た証人の印象や陪審員の様子などが「注記」として紙幅を取ってます。
これがねえ、もうおかしくておかしくて♪
初読時は話の流れを掴みたかったので、そうなるとこのイングリス氏の注記はうっとうしい以外の何者でもなかったので、斜めに読み飛ばしまして(もちろん、ある程度は目に入れてますよ)。

で、再読にかかったときには、今度はイングリス氏の注記の方をじっくり読んでみました。
するとまあ、ほとんどは的外れというかまるで小学生が教科書の偉人の写真に落書きしてるようなもんじゃないかとか結局この人はなーんにも分かっちゃいないよーというか、とにかく役に立たないことばかりの羅列なんですが、中にちらほらと手がかりになるようなことや、それなりに鋭い観察眼を持っていて、全部分かった上でだとこのイングリス氏という人は、しょーがないなあもう…(薄笑い)、みたいな印象に変わるのがすごいところ。

前作ではただうるさいだけだった彼が、その自信過剰気味の自負心やら事件に全く関係ない薀蓄やら他人を見下すような困ったちゃんな人なんですが、それでもこの作品になくてはならないキャラクタだということを実感しました。

そして、そのイングリス氏の長ったらしい注記のおかげで、この作品全体に厚みが出て、一読者としてニヤニヤ笑いながら、そしてスローカム氏の相変わらずの冴えにますます華を添える形になっていることに気が付いて、うまいなあと思うのです。

事件の内容とか証人(=容疑者(ミステリとしての構成において致し方ない定型))を書き出すとそれだけでネタばらしも同然なので、前作と違って何一つあらすじを書けないんですが。
それにしても、最後の最後まできっちり手を抜かないワイルドのすごさ!
村はずれの今にも崩れそうなあばら家で起きた火災で、わずかの骨と入れ歯のみ発見された遺体。
これだけでもう、ある程度ミステリを読み慣れていれば、だいたい見当つきましたよね?
私でもそんなに遠くは外してなかったくらいだから。
ただ、これが日本の裁判制度じゃなくてアメリカの陪審員制度だということが重要で、日本ならありえない評決だと思いますが、その意味を十分に生かした結末が用意されているのが、この作品の読後感を爽快にしていて。ブラボー!と拍手したくなりましたよ。
そうかー、証人の中に不審者が出てきたのは、ただの伏線じゃなくてこんな意味があったのかー!いやお見事!
手がかりはちゃんと書かれていたし、フェアなパズラーですよね、これは!
そして彼が考えたトリック自体はありふれたものでも、それを読んでがっかりさせない人物描写とリーダビリティ。
証人がどいつもこいつもクセのある人ばっかりで、けどまあ明らかに除外できるキャラもいるし。確かにこんなにキノコの専門的な話を一般人に滔々と解説されてもねえ、当分キノコなんて見たくもなくなるわね(笑)

とにかく最後までじっくり読み進めて、その見事などんでん返しにおおっと感心するラスト、スローカム氏が陪審員を招集する前からおおよその事件の骨格を見抜いていたという名探偵ぶり、私は早くも年末の海外モノのベストに入れたい作品でしたwww


(2009.3 創元推理文庫)
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