こんな本読みました。

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『ブロードアレイ・ミュージアム』 小路幸也 著

2009/03/29(日) 19:04:56 小路幸也 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 はあぁぁぁ(満足)
 さすが小路さん、子どもが可愛くて仕方がないんですよねwいつも小路さんの物語を読んでいると、こんな私でも子どもが欲しいかも☆なんてむずむずしてくるんですけど(笑)
 もしかして、小路さんの小説は、妊婦さんの胎教とか育児にちょっとお疲れ気味の人にはもってこいなんじゃないかと思ったりします。
 小説なのでもちろん、最初から最後まで貫かれたミステリーがあります。本格ミステリ読みのミステリとは意味の違う、秘密。未読のかたは、これより先にはお進みになりませんよう。
 




新人キュレーターのエドワード・ウィルミントン青年。
彼が派遣された職場は、賑やかなブロードウェイから1本筋を外れた静かな場所にある“ブロードアレイ・ミュージアム”。
そこには先輩キュレーターのメイベル、ブッチ、バーンスタイン、モース、そして不思議な少女・フェイ。謎のオーナー、E.G。
フェイの秘密も、キュレーターたちの過去も、新人だからなのか、なかなかすぐには教えてもらえないエディが学んだのは、黙って聞き役に徹することといつか分かる日が来ると信じること。
そして、エディ自身の秘密。

連作短編集と言っていいと思うんですが。経験する事件のたびごとに、玉ねぎの皮を一枚ずつ剥くように、先輩たちの過去やフェイの秘密に少しずつ触れていくエディ。
また“B.A.M”を陰から支える仲間や気安く付き合うギャングまで、1920~30年代の古きよきアメリカ・ニューヨークがいっぱいです。ジャズが聞こえてくるみたい♪

これ、読んでるうちに感じた一番のことは、

『東京バンドワゴン』のアメリカ版だー!

でした(笑)。特に会話のところなんか♪

B.A.Mの面々や見える顔から見えない仲間まで、優しいというのかお節介というのか、ただフェイの為にと一肌脱ぐ彼らは、『東京BW』の堀田家のみんなとよく似ています。血縁関係ではないけど、家族同然。
それでいて、舞台がアメリカだからか、そこはかとなくハードボイルドっぽい雰囲気もあるし、フェイの能力は(これ、ちょっと変わってるけどリーディングですよね。フェイの“触りたい病”の描写は、ちょっとだけエドガー・ケイシーみたい)そして秘密は、ファンタジー。
いろんな要素が詰まってて、楽しく読めましたw

キュレーターたちの過去が過去だから、逆に言えば、美術芸術関係についての審美眼は一級なんですよね。最初は彼らの仕事って?と思いながら読んでいたんですが、B.A.Mの表の仕事も納得できるようになりました。
でも、最後に明かされるB.A.Mそのものの秘密に至っては、E・Gの剛毅なことよ!というスケールの大きさと、隠されていたデリケートさに感嘆しました。まあ私設博物館って、多かれ少なかれそういうものかもしれませんが。

1度、最後まで読み終えてフェイの秘密を知った上で再読すると、フェイの言葉の重みがものすごいです。
特に209Pの会話。
これ、私人としてのフェイなら、ちょっとおませさん、な程度で微笑ましいのに、出自が明らかにされた上では……こんな言葉をいつも胸に秘めて生きている彼女がまだあどけない少女で、全部理解してこういうセリフを言えるという設定が、涙がでるほど上手いなあと思います。

また、フェイの為に働く彼らも魅力的でいいww
メイベルは多分、同性の私でも惚れる女性だと思うし、彼女の哀しみも重なってますます魅力的w
バーンスタインの見た目とは裏腹に一途で純粋なところとか。
ブッチの豪快さ(ただし私も彼の隣に立ちたくないです(笑)身体がいくつあっても足りません)と、ベーブの段で分かってきた誠実さ。こんな友達がいたらいいなあ。
モースさん。実は好みだったりして(笑)
そういや『銀英伝』でも、アイゼナッハ提督って割りと好きだったわ私。
あとバトラーさんにくらりとした私は多分、執事カフェに嵌まるタイプだと思う。
“さえずり屋”グッディが、元○○っていうのは意外でした。だから、手紙をエディに開封させたんだ。線引きがきっちり出来てる人。

そして一番ぐっときたのが実は、ギャングのボス、ララディだったんですけど私(笑)。どーしましょうか★

フェイが一番好きだったのって、おそらくエディじゃないかなと思ったんですが。
エディの真の目的を知って、それでも一緒にいられるのは、フェイの立場の場合、よほど好きでないと。そしてエディも、フェイが本当に愛しかったんですね。あの信頼関係は羨ましいほどでした。

こういうキャラクタ設定は、古き良きアメリカという舞台にとてもマッチしています。これが日本ならちょっと無理があったと思う。
翻訳モノに親しんでこられた小路さんならではですよね。

「サッチモのコルネット」は、結構ミステリ仕立てで印象深いです。
涙が出たのは「ベーブ・ルースのボール」、母親のあの言葉がもう…(涙)。それと何の変哲もないボールに隠された悲劇っていうのがまた…。そして終盤、エディの機転のアレは、野球にかけてあるんですよね?上手いなあw

考えなしの楽天家はまわりを不安にさせるけれど、この作品の人たちはみんな、いい意味で人生を楽観視しているような気がします。こういう生き方に憧れます。
あと、「責任」という言葉が心に残りました。

そうそう、エディが初めてB.A.Mを訪れるシーンのあたり、やたら小路って出てくるので、私はその都度「しょうじ」と読んでしまいました(苦笑)
で、ちょっと脱線して、このgooブログの辞書機能で調べてみたりして。

「小路」……小さい道。大通りから入り込んだ幅の狭い道。こみち。
「路地」……家と家との間の狭い通路。
ついでに「小道」……①狭い道。細い道②わき道。枝道。

だそうな。
確かにB.A.Mは「こみち」ですね。うん。路地じゃないわ。納得。
路地は京都。こっちも納得。

読んでいるあいだ、エラリー・クイーンも活躍した1920年代後半から30年代のアメリカ・ブロードウェイの雰囲気を堪能しました。楽しかったです、小路さん。

(2009.3 文藝春秋)
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