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『夜の光』 坂木 司 著

2009/03/22(日) 16:21:12 坂木司 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
久しぶりに読んでみた、坂木さんの本。

『シンデレラ・ティース』以来。

感想は……可もなく不可もなく、って感じなんですが、まあ一応、思ったことだけ書いておこうと。

ひとつだけ先に。これは大まかに区別すれば日常の謎系ですが、そういうのとも少し違う気がしました。

某巨大掲示板で、けっちょんけちょんに扱き下ろされてる坂木さん。
あの引きこもりシリーズはねえ、確かに同人作家さんの延長上にあると見られても仕方ないとは私も思う。

ああいうものしか書かないとしたらこの人の読者はいつまでも限られたままだろうなあと思っていましたが、前に読んだ『シンデレラ・ティース』で、おやっと思いました。こういうのも書けるんやんって。

で、クリーニング屋さんとかすっ飛ばしてこの『夜の光』を図書館に予約入れてみたわけですが。

坂木さん、引きこもりシリーズでのあの息苦しくて暑苦しいほどの濃密さから脱却しつつあるのか、それともこういう引き出しも持ってはったのか。
そう思うくらいには、この作品は適度に乾いていました。

コードネーム(笑)ブッチ、ジョー、ギィ、ゲージの4人。高校の天文学部に在籍。
顧問までもが全くヤル気なし。超個人主義。
4人とも、必死に何かと闘ってる。お互いの事情を詳しく話すことはしないけれど、それだけは分かる。

それが何かは、未読のかたのために伏せるとして、高校生らしい弱さと強さと自我は読んでいて気持ちがいいなと思いました。

高校生のパートまでは。

最後の書き下ろしがなければねえ……。
ていうか、その後の彼らの情報をああいう形で表現するんじゃなくて、メールか手紙かで近況報告するにとどめておいた方が良かったんではないかと私は思います。
他の3人はみんな達成したのに自分は何をしてるんだろうって、ぐずぐず落ちこぼれ感を見せられなくてもがき続ける、みたいな。でもそれは、仲間に見せていないだけで実はお互い様なんだよって。

こういうラストを望むってことは、私はやっぱりミステリ好きなんやなあと(笑)
この作品の読後感は、めっちゃいいのです。一般受けするのも分かる。
でも、私は、茶さじ一杯分の毒を、そこに見たかったなあと思ってしまうのです。
最後までイケズな同級生とか嫌な先輩とかをレギュラーキャラにしてほしかった。
出てくる大人達の横暴さとか理不尽さとは別にして、結局いい人ばかり出てくる作品にするなら、それこそ小路さんの『東京バンドワゴン』ばりの世界の構築をしてほしい。

毒がないってことは、よっぽどうまく書かないと、後々まで引っかかる何かがないってことなんだと思います。
そういうのって、すぐに内容忘れてしまうもんじゃない?

それと、スパイってのは無理無理だと思う。
路傍の石かダイヤの原石にしておけばよかったのに…。なんでスパイなんて…、でももしこの稚気とも言えないような無理感が、高校生にありがちの彼らの幼さを表現しているのだとしたら、坂木さんはすごいと思う。それとブッチの「メーン」はどうよ(笑)これも坂木さんの計算かなあ。

ま、私の偏見はそれくらいにして、褒めるところは褒めておこう。

私が一番好きな話は、学祭のパートかな。
ブッチとゲージが持ち帰った犯罪行為の証拠はともかく、ジョーが巻き込まれたエピソードと、それに対処するジョーの凛とした潔癖さがすごく綺麗。
本人がどう否定しようが、それはやっぱり家庭で育まれた育ちの良さだし。
私くらいのトシになると、ジョーの言い分はもちろん分かるけど、この人間としての品の良さはやっぱり両親と理解者である弟との関係性からだろうから、一概に親だけを悪者にするのは可哀想だと思ってしまうあたり、なんとも苦いものが…。
若くないんやなあもう……とほほ。

ギィの純粋さも、ゲージの大らかさも、ブッチのちょっとズレた朴訥さも、いい感じです。

そして、坂木さんはやっぱり食べ物の描写に手を抜かない!

学校の校舎の屋上で食べる彼らの手際の良さも含めて、ヨダレが出そうでしたよ。
ふつう高校生がこんなに料理できたら、もう将来困らないと思うんやけど、料理ってセンスやから頭が良くないと美味しいものは作れないのを日々実感する主婦の私としては、彼らの脳みそをちょっとだけ分けて欲しいと思ってしまいました(苦笑)

あとがきの最後の一行は、ギィのコーヒーのことですよね。
私は紅茶かな…美味しいメーカーのしか飲まないし、ティーバックだろうとちゃんと手順ふむから、いつもティータイムは幸せです。

(2008年 新潮社)
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