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『七つの海を照らす星』 七河迦南 著

2009/01/18(日) 09:00:48 七河迦南 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
第18回鮎川賞受賞作。
授賞式に当人が欠席、代理人がトロフィを受け取ったことで、「もしや覆面作家か?」とあちこちで話題になって、デビュー作にしては認知度が上った気がしますが(それが作為だったとしたらあざといなあ)。
えーと、あまりいいこと書いてないです。
なので、私よりも先に読まれてこの作品に感銘を受けたというかたがいらしたらごめんなさい。こういう見方をする奴もいるんだ、ということでスルーしてくださいませ。

思いっきり日常の謎系なわりに、それで鮎川賞が受賞できたのは、児童養護施設という特異な環境を描いた作品であったことに尽きるのかも。
そう思います。
日常の謎ならそれはそれでいいので、じゃあミステリとしてはどうかというと、サプライズもどんでん返しもなく、ただ物事のもうひとつの見方を示しただけのものがほとんど。
六話までの冗長さは、最終話への収束にもっていく為だったとしたら、その六話に出てくる子ども達がちょっとかわいそうじゃない?一番の謎の部分は、全て彼女の存在によるものでーす、なんて、現在の入所してる子ども達はただの太鼓持ちやないの。

もともと、最初っから共感できなかったのが語り手である北沢晴菜嬢。
施設の子どもよりも子どもっぽい職員でいいのか?
もっともその単純さが子ども達には「はるのん」というポジションになるのかもしれませんが。
いくら海王さんという安楽椅子探偵役を据えていると言っても、難しい立場や過去を背負ってる子ども達の施設の職員にしては、あまりに浮ついているようでイライラした。

文章は上手いと思うし、児童養護施設という社会的弱者の視点から世間を見てその悪意とか邪念とかを浮かび上がらせているのも凄いなあと思うのに、どうしても褒められない。
最終話が無理矢理すぎるというかかなりのこじつけ、みたいに感じたのは私だけじゃないと思う。
たまに出てくる子ども側の一人称とか、回文とか、必要だったのかもかなり疑問。特に回文は。
叙述トリックにしたいのかというとそうでもなさそうだし、伏線なのかと思わせておいて実は関係なかったり。何がしたいのかが今ひとつはっきりしない。騙しのミステリなら、道尾さんくらいに徹底していればまだしも(そして最近の道尾さんは騙しミステリばっかりなもんで飽きてきた★)

これが鮎川賞受賞作って、いいのかなあ。
ぱしーん!と綺麗に決まった謎の解明があるわけじゃなし、本格ミステリというにはあまりに弱い。
ロジックがどうのトリックがどうのという話でもない。
他の候補作があまりに水準以下だったんやろなあとしか…。
巻末の選評を読んでもそんな感じですしね。
そうかー、本格ミステリのお約束というか定番である“孤島”や“密室”や“見立て殺人”って、もう新人さんは軽々しく書くものじゃないんだ。
ベテラン作家と言われる先生にしか、書けないものなんだ……。
何がショックって、この作品が受賞したということよりも、それをまざまざと突きつけた選考委員の先生方の選評ですよ。

これなら同時期に受賞された『ミステリーズ!』新人賞の作品の方が、はるかに本格ミステリとしての出来は上ですね。
『砂漠~』なんてもう感激したし、もうひとつの学園コメディミステリも大変楽しかった。短編だった為に鮎川賞の対象作品にはなれなかったことが何より惜しい。

この『七つの~』の作者としてデビューした七河氏が、次回作はどういうものを書かれるのか要注目ですね。
もしこのままの路線であるなら中途半端なミステリにしかならないし、本格ものを書きたいなら、もっとミステリというものを凝視して、クローズドサークルにおけるトリック重視にするとか不可能犯罪のアリバイ崩しにするとか、はたまた大どんでん返しを重ねるか。それとも全く逆に、社会派ミステリに向かうか。そんな風にまっすぐな芯を立てたほうがミステリ読みにはありがたい。ロジックやトリックや、もうネタは出尽くしたとか言われていますが、それは多分、日常の謎系でも同じでしょう。
どれだけ、自分オリジナルのものを出せるか。
さっき上げたミステリーズ新人賞受賞作の『砂漠~』で、今のミステリ界でもまだこんなミステリが読めるんだ!と充分思わせてくれたことが、その証左。

ミステリファンは、新人さんがデビューしたと聞くたびに、それを楽しみに待っているのですよ。
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