こんな本読みました。

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『ケンブリッジ大学の殺人』グリン・ダニエル 著

2009/01/10(土) 14:45:04 海外ミステリ THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 昨年末の『2009本格ミステリ・ベスト10』の海外本格ミステリランキング6位の作品です。ちなみに『このミス』の方ではランクインせず。こんなに面白いのに!やっぱり私は『このミス』より『本ミス』の方が合ってるわ。
 ともかくこれで、海外ミステリランキングのベスト10を半分の5作品は読了したことになります。よかったー。
 そしてこの作品は、第二次大戦中に執筆されたそうですが、まあなんと黄金期の古典ミステリに則っていることか。
 ネタバレするおそれがありますので、未読のかたはこれより先にはお進みにはなりませんよう。




うん、これは確かに、本格好きにはたまらない“推理小説”です!
バークリーの『毒入りチョコレート事件』を思い起こす人もいるみたいですが、私はどちらかと言うとクロフツの『樽』みたいな感じがしました。
複数の登場人物による複数の推理の積み重ね、というのは『毒入り~』と同じですが、そのうちの1人が事件前からの予定だったとはいえ、結局、海を渡って遠い場所で事件の真相に迫る、というのは『樽』でしょう。

クロフツの『樽』を出すなら鮎川先生の『黒いトランク』とか、刑事による推理という意味では鮎川作品の鬼貫さんのよう、と言いたいところですが、鮎川作品の重厚さキメ細やかさ濃厚さという点において、違う気がします。

イギリスの名門校、ケンブリッジ大学(訳者解説によると、おそらく現実のケンブリッジではなくパラレルワールドらしいです)のある学期末、構内には数人の学部生や評議委員、そして学生監から学寮長という最高位の人間、学部生や評議委員の世話係、それと門衛。
事件前からなにやら生臭い人間関係のもつれあり、敵を作りやすいタイプの人がいたり、と早くもフラグがあっちこっちに。
そして起こる殺人事件。
まず事件に興味を持ったのが、副学寮長のサー・リチャード。そしてその様子を胡散臭く記憶していた地元ケンブリッジ署のウィンダム警部。また人間として器量が大きいのかはたまた大雑把なだけか、それでも推理のキレは超一級の警察本部長カニンガム・ハーディー大佐。
やがてふたつの事件を追ううちに行き詰ってしまって、とうとうスコットランドヤードの応援をあおぐことになりますが、そのヤードから派遣されてきたロバートスン・マクドナルド警視。
推理を構築し意見を闘わせていくのは、この4人。
誰が真の探偵役ということではなくて、誰かが組み立てた推理を他の3人がよってたかって叩き潰すという(笑)

この仮説を元に進められる推理の過程も面白いし、自分の意見をぶつけることで推理の穴を指摘したり自分の説にこだわりを見せたりするのもまた楽し。

事件はそれほど難しそうには思えないし、容疑者の幅も変わらないけれども、何故か1人に絞れない。そのイライラ感もいいですねえ。

また、容疑者たちの証言や供述がコロコロ変わるというのがまた、その人を怪しくも見せるしアリバイをあやふやにする。
消去法で消し込むことができないのは、この500ページに及ぶ推理バトルを保たせるためなんでしょうね。

明らかに嘘をついている容疑者もいるし、ひょっとしてコイツは怪しいんじゃないか叙述トリックがあるんじゃないかと思うキャラクタもいる。
推理メンバーのはずのサー・リチャードでさえ、警察側から見れば容疑者の1人であることに変わりはないし、当のリチャードさんも胡散臭げではある。

そのスリリングな感じがいいんですよ。

………ああそれなのに(涙)

ラスト、犯人による真相の告白、あれは絶対手を抜いたに違いないよダニエルさん!
なんっってしょーもないのっ!

犯人の告白なんやからさー、これまでに出てきた推理の裏をかくというか全く違う様相を見せるとか犯人だからこそのびっくりする動機やらアリバイ作りとかさー……がっくり★

多分、複数の名前を並べることで、人物のなりすましというかすり変わりとアリバイ作りを先に絡めちゃったんじゃないかなあこれは。

おまけに、ラストのラスト、何故真犯人が分かったか?という天啓のシーンの種明かしが、まるで膝カックン★みたいな展開は…。
ああもったいない!

まあでも、それまでの、推理の構築と壊され方の積み重ねは本当に愉しんだし、それで充分穴埋めになるからいいかあって感じです。

とにかく、超ド真ん中の本格ミステリ、それもクラシックミステリが大好きなかたにはたまらない作品だろうと思います。私がそうですもん。

そうそう、訳者解説の、本書の出版経緯についての部分、窓から投げ捨てた本が一体どんなタイトルだったのか、めっちゃ気になりますよ私も!(笑)

海外ミステリといえばハヤカワと創元推理文庫がお馴染みですが、こないだ読んだ『待ち望まれた死体』(キャサリン・ホール・ペイジ 著)といい、扶桑社ミステリー文庫もあなどれないwww
もっとちゃんとチェックしないと!
また楽しみが増えました♪

(扶桑社ミステリー 2008.5)
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