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『参議怪死ス』 翔田 寛 著

2009/01/01(木) 18:26:10 翔田 寛 THEME:読んだ本の感想等 (ジャンル : 小説・文学 EDIT
 つい先ごろ、江戸川乱歩賞を受賞した翔田さん。そろそろ認知度が上ってほしい作家さんの1人です。
 この作品、本格ミステリとしての要素ももちろん含みながら、それだけにとどまらないエンタメ度の高い小説です。つまりめっちゃ面白い!
 ……ただ、どうやら絶版のようです…2004年ですよ発売されたの。びーけーわんでも無理、あまぞんの中古でナント14,800円の値がついてる!一日も早く、文庫版の復刊を希望します!
 ということで、多分、未読のかたの方が多いでしょうから、ネタばらしじゃなくてご紹介ということで。


舞台は明治維新直後の未だ混乱の続く東京。
新政府の中枢に位置する重要人物の広沢真臣卿が何者かに惨殺されているのを発見された。
発見者の部下から連絡を受けた、もともと友人の代わりに当直の番についていた刑部省逮部副長の佐伯謙太郎は、捜査監督部署の組織争いの制約の中で出来る限りの初動捜査を始める。
一方、弾正台所属の大井も刑部省に遅れをとりながらも同じ広沢卿暗殺事件を担当する。佐伯に殺意すら漂わせるほどの憎しみをこめながら。
家人への地道な聞き込みと、佐伯の独断による証人保護からの手がかりをもとに事件の謎を追ううちに、佐伯も大井も新政府上層部の圧力に振り回されながらも、確実に恐るべき事件の真相に近付いていく…。

この、“広沢卿暗殺事件”は、実際におこったことなのだそうですね。
近代、特に明治以後の歴史には全く興味がないので知らなかったんですけど。

そして、この作品には、幕末から維新にかけての日本の混乱、それも戊辰戦争(鳥羽・伏見の戦い)の、多くの血が流れた狂乱の時代が根底にあって、死の恐怖が自分の目の前どころか喉元にまで接近したその精神の崩落・狂気がずっとずっと漂っている感じです。
どれが歴史的事実でどこからがフィクションなのかは分からないんですが、もしかしたらこれは全部史実なんじゃないかと思うほど、次第に明らかになっていく陰謀や策略、おぞましい鬼畜の所業。途中、読むのも辛くなるほど人間とは思えないありとあらゆる悪夢が、主人公の佐伯と共に読者にまで吐き気をもよおしてきます。

歴史ミステリ、歴史小説であり、警察小説でもあり、スパイ小説としても読める。そして、人間の原罪とか業とか、戦争によって狂わされる人の精神や人生を憂う、エンタメとしても素晴らしい小説だと思います。

こういう時代を舞台にする以上、しょうがないことですが、人ひとりの生命は、木の葉よりも軽いです。
とにかく凄惨な殺人事件の描写があるので、そういうものがダメなかたにはところどころ辛い部分もありますが、それでも読む価値はあります。

今年、もう終わりましたが大河ドラマは【篤姫】でしたよね。
篤姫の故郷、薩摩がとても重要視されていましたが、構成上、薩摩は倒幕の急先鋒として完全に正当化されていました。
対して、この『参議怪死ス』は、その隠された部分とか知られては困る真実、大義名分とか正義なんて薄っぺらい紙切れ同然だったような陰謀の数々、そして薩摩や長州が、大久保利通・岩倉具視ら新政府の重鎮が一体何を策謀したのか、一方で否定され倒され潰されていく幕府と旧幕臣たちの悲しみと、身の置きどころのない明治の世の影、という暗部にスポットを当てています。薩長ファンには我慢ならない小説かもしれませんね(笑)

戦争という、殺人を正当化するもの、大義の為には大量殺人は賞賛されるべきものであるなどという地獄絵図の中で、弱い人間の精神は次第に静かに狂っていく。
よくは知らないんですが、アメリカのベトナム戦争のPTSDもこんな感じなのかなあと思います。
それくらい、戦争は人を壊す。

佐伯と大井がどうなったのか、事件の真相と真の黒幕は誰でだれがスパイだったのか?その決着は目を覆いたくなるほどに凄惨でラストは救いがあるのかないのか微妙なんですが、読後感は悪くはないです。ずしんと重いものがあるけれども、歴史的事実との辻褄がぴったり合っていて、綺麗なミステリとしても素晴らしく印象深い作品です。

図書館にあればラッキー、新刊書店ではまず入手不可能だと思いますが、私も古本屋さんをしらみつぶしに探してみようと思っています。
それくらい、めっちゃ欲しいのですよwww

どなたか、京都の本屋さんで見かけたかたはいらっしゃいませんかー?

江戸川乱歩賞受賞の余勢をかって、これも復刊してくれないものか……。
ちなみに、翔田さんの作品はいくつか読んでいますが、『眠り猫 奥絵師・狩野探信なぞ解き絵筆』(幻冬舎文庫)もオススメ!こちらは普通にゲットできますよーん♪私も後で再読しようっとwww

(双葉社 2004年)
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